2021年最初のドアメンは、フランス・モンペリエ出身のジュリエン・チエフリさんです。学生時代に留学生として来日し、現在はAI(人工知能)に特化したソフトウエアを開発するエンジニアとして活躍中です。「テクノロジーで人々のQOL(生活の質)を向上させたい」と語るジュリエンさんのキャリアストーリーや感じている日本の魅力、交際を始めたばかりの彼女について語ってくれました。

ドローンのインフラ活用を実現する

日経doors編集部(以下、――) A.L.I.テクノロジーズは、AIやドローン、エアーモビリティーなど、最新のIT技術を用いたソリューションを提供している会社です。ジュリエンさんの現在の仕事について教えてください。

ジュリエン・チエフリさん(以下、ジュリエン) 私が担当しているのは、ドローンで集めた情報を活用するためのクラウドやAI技術の開発です。ドローンそのものは小型なので、多くのプログラムを搭載できません。そのため、機体には簡易なプログラムだけを載せて撮影やデータ収集を行い、それらをクラウド上で分析し、活用します。現在、AIをブレインとしたハードと、クラウドテクノロジーのソフトウエアを掛け合わせたサービスを提供するための全プロセスに携わっています。

―― 具体的にドローンのどんな機能を開発しているのでしょうか?

ジュリエン 1つはドローンのリモートコントロールを可能にすること。2つ目はドローンの画像認識の精度を上げ、市街地や公道、住宅街、山間部など、あらゆる場所の障害物検知ができるようにすることです。既に、一部のクライアントに利用されており、フィードバックを基に新たな機能の開発や改良を進めています。

―― 高性能のAIをドローンに搭載することで、どんなことが実現できるのでしょう?また、社会にどんな価値をもたらすと考えていますか?

ジュリエン 私が目指しているのはスマートシティーの構築です。簡単に言うと、テクノロジーの力でセキュリティーやメディカル、デリバリー、ロジスティクスなどを、より便利に、快適に行えるようにしていくのです。例えば、人の目が届きにくい場所の警備が可能になります。また、災害時に救援物資が届けやすくなったり、物流部門で荷物をスムーズに運んだりと、これまで人の力に頼るしかなかったことが、ドローンで解決できるようになるのです。山間部などの僻地(へきち)にも物資や薬を届けられるようになるでしょう。将来的に、ドローンで人を運ぶことができるようになれば、災害時の救助活動の一助になります。

 スマートシティーの実現には、さまざまな要素が必要なのでテクノロジーも1つの側面に過ぎません。しかし、私自身はクラウドやAIの技術開発を得意としているので、この分野で自分の力を発揮し、人々のQOL(生活の質)の向上に貢献したいと思っています。

「今、ドローンは社会に浸透しつつありますが、現段階ではいかにシステムのクオリティーを上げていくかが重要な課題。長期的な視野を持って取り組むことが必要だと考えています」
「今、ドローンは社会に浸透しつつありますが、現段階ではいかにシステムのクオリティーを上げていくかが重要な課題。長期的な視野を持って取り組むことが必要だと考えています」