今月のドアメンは、さまざまな分野でデジタルクリエーティブを手掛けるAID-DCC(エイド・ディーシーシー)のプロデューサー、前田輝(あきら)さんです。キリッとしたまなざしに宿る仕事への情熱と、実は「かわいいもの」が大好きという意外なプライベートまで、じっくり話を聞きました。

社長の「専属ドライバー」が自分の原点

日経doors編集部(以下、――) デジタルクリエーティブと聞くと、時代の最先端を行くイメージがあります。前田さんは現在、どんなプロジェクトを担当しているのですか?

前田輝さん(以下、前田) AID-DCC(エイド・ディーシーシー)は、ウェブやアプリ、プロジェクションマッピングの制作、イベントプロデュースなど、あらゆる分野のデジタルクリエーティブを手掛けています。私は、その企画立案からディレクション、現場のオペレーションまで、総合的に携わっています。大手クライアント企業のPRやプロモーション、マーケティングに関わることが多いですね。

 今は、沖縄の有名リゾートホテル内にあるサウナのイベントを担当しています。入浴サイクルに合わせた照明や音楽など、どれだけデジタルの力を使ってサウナ空間を楽しめる演出にするか、日々奮闘中です。デジタルを活用するといっても、アナログな仕事が多いので体力も必要ですね。

―― 最近、サウナブームが来ているので、注目度も高そうです。

前田 私はサウナをあまり利用したことがなかったので、学べば学ぶほど、奥深いなと思いました。今回は、フィンランドの伝統的なテントサウナ「ロウリュ」をベースに、専用の音楽を作ってもらったり、オリジナルアロマオイルを使ったりして、沖縄のリゾート地で異空間を味わってもらえるように頑張りました。

―― 名刺には、「プロデューサー」の他に「ドライバー」という肩書もありますね。

前田 実は前職で、最初は「ドライバー」として採用されたんです。私はその前の会社では営業だったのですが、どうしてもクリエーティブ分野の仕事がしたくて、制作系の会社の門をたたきました。この会社の社長が車椅子を使用していたため、未経験だった私は、まず、社長のドライバーとして働かせてもらうことになったんです。2年後に制作部門に異動し、プロデューサーの仕事を覚えました。体に不自由があっても、結果を出していた社長を尊敬していますし、ドライバーは自分の原点でもあるので、転職した今も肩書に残しています。