今月のドアメンは、就活サイト運営のグローアップに勤務する吉野謙希さん。入社時の営業成績は最下位だった吉野さんがエースとして活躍するまでの軌跡と、コロナショックで打撃を受けた企業を支援する取り組みを始めた背景に迫ります。後半では恋愛観もたっぷり語ってくれました。

コロナショックの影響が懸念される企業の採用活動を支援

日経doors編集部(以下、――) 現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、経済活動が滞っています。吉野さんが担当する新卒採用や転職市場の現状はどうなのでしょうか?

吉野謙希さん(以下、吉野) 私が主に携わっているのは、新卒に特化した就活サイト「キミスカ」の営業部門。キミスカは、学生が自身のプロフィルや自己PRを登録し、企業側が気になった学生に応募を促すアクションができる「スカウト型求人」を特徴としています。現在、2021年卒の学生は約10万人の登録があります。

 今は、経済が低迷中ではありますが「いい人を採用して、事業を発展させたい」と考えている企業が多いように感じます。新卒採用を中止した会社もありますが、続けている会社もあり、弊社データで見ると割合は半々ぐらいです。

 新卒採用にも言えることですが転職市場では、急速にテレワークが普及したことにより、セキュリティーシステムやネットワーク関連企業、飲食店のデリバリーに関係する会社全般の採用活動が活発になった印象です。

―― 今年4月、グローアップはいち早く、コロナショックにより大打撃を受けた飲食店を支援する取り組みを始めたと聞きました。

吉野 はい。別の部署になりますが、弊社ではもともと飲食業専門の転職支援サービス「エフジョブ」を運営しており、その強みを生かして、苦境にある飲食店をサポートできないかと考えました。時短営業や休業により経営が厳しくなった飲食業の中には、泣く泣く従業員を手放すことになった会社もたくさんあります。

 そこで私たちはそのような会社の従業員に、コロナショックで人手不足に陥ったスーパーやドラッグストア、料理人であればシェフ不足に悩む地方のホテルなどへ一時的に移籍してもらい、契約期間終了後、レベルアップして元の会社に戻るレンタル移籍サービス「ロンデル」をスタートさせました。

―― 飲食店とスーパーなどの流通業は接客スキルと衛生意識が求められるので、即戦力になりそうですね。反響はありましたか?

吉野 3月末にプロジェクトがスタートし、4月中旬に発表したところ1週間で40件を超える問い合わせがありました。求職者も受け入れ先の企業も瞬く間に増え、現在は実際にサービスを導入した企業もあります。大きな反響を受け、自分たちの存在価値を改めて認識しました。

「ロンデルは発案から2週間ほどでリリース。意思決定が早いのはベンチャーだからこそできることです。社会情勢に合わせて素早く行動を起こせることは、弊社の強みでもあり、私も最もやりがいを感じられるところです」
「ロンデルは発案から2週間ほどでリリース。意思決定が早いのはベンチャーだからこそできることです。社会情勢に合わせて素早く行動を起こせることは、弊社の強みでもあり、私も最もやりがいを感じられるところです」