「死」を覚悟した海外での出来事が人生観を変えた

―― プライベートでは、現在「彼女なし」と聞きました。今、積極的に出会いを求めていますか?

吉田 出会いというより、今はコロナ禍の影響で、人と接する時間そのものが少なく、さみしさを感じます。そんなとき、彼女がいたらいいなと思うこともあります。

―― 恋人にするなら、どんな女性がいいですか?

吉田 強いて言えば、「面白い人」。バシッと手が入るくらい、鋭いツッコミをしてくれる人が好きです(笑)。あと、何かに夢中になっている人に魅力を感じます。自分の好きなことについて、目を輝かせながら話しているときのキラキラした姿にドキッとします

 反対に、愚痴っぽい人やマイナスの発言が多い人は、自分とは合わないと思います。でも、条件や理想というフィルターを通じて、人を見ることはしたくないですね。

―― そう思うようになったのは、何かきっかけがあるのでしょうか?

吉田 前職を辞めた後、海外を旅して回りました。その中で、1週間ほどフランスに滞在していたとき、市民デモに巻き込まれたんです。そのとき、私はバスに乗っていたのですが、交通も止まり、逃げたくても次々と人が乗ってくるので降りられません。すし詰め状態の車中で立ち往生していたとき、デモ集団がバスに向かって、煙が出ている何かを投げつけたんです。

「海外でデモに巻き込まれ、『生きること』について深く考えさせられました」
「海外でデモに巻き込まれ、『生きること』について深く考えさせられました」

吉田 それを見て、私はとっさに「手りゅう弾だ!」と思い込んでしまい、「これで人生終わりだ……」と覚悟しました。しかし、投げ込まれたのは発煙筒で、周りの人にも深刻な被害はなく、胸をなで下ろしました。このときに「生きていてよかった」と心から思うと同時に、誰もが生きているだけで尊い存在なんだと実感しました。だからこそ、条件や利害関係で人を選ぶようなことはしたくないと思ったんです。

―― 人生観が変わる体験でしたね。自分探しの旅を経て、やりたいことを見つけて転職を果たした吉田さんの今後の目標は?

吉田 就活は、自分を見つめ直し、自分の軸を持つためのいい機会。世界規模でコロナ禍にある今、大きな不安を抱える就活生を、私たちでしっかりバックアップしていきたいです。一人ひとりの学生と向き合いながら、その人自身の価値観の形成をサポートできたらいいな、と思います。

 将来的には、小、中、高校生の若い世代に向けた教育分野の事業を立ち上げたい。社会貢献につながる活動をしたいと考えているので、セカンドスクールの運営などに興味があります。グローアップはベンチャー企業なので、新規事業として実現できるチャンスがあるかもしれません。目の前の仕事にしっかり取り組むことで、さらに大きな夢に近づけると思っています。

「子どもが大好きなので、将来は自分の家族を持ちたい。中古の家を自分好みにリノベーションして、犬を飼って…と、理想の家庭像を描いています」
「子どもが大好きなので、将来は自分の家族を持ちたい。中古の家を自分好みにリノベーションして、犬を飼って…と、理想の家庭像を描いています」

取材・文/高橋奈巳(日経doors編集部) 写真/小野さやか