女性の心を理解するためにメイクを始め、気付いたこと

―― エンドユーザーも業界全体も女性が多い世界ですよね。仕事をする中で、壁にぶつかったことはあるのでしょうか。

 女性に向けて、男性の私が化粧品をアピールする難しさを感じています。今は、メディアに向けた製品説明がメイン業務ですが、美容担当の編集の方々や美容家さんたちは、知識が非常に豊富なので、まだまだ勉強が足りないと反省することが多いです。女性の肌悩みに関して、自分では分からないことが多いので、男性PRとしては苦戦するところです。

「コロナ禍を機に、オンラインでの新製品発表会やプレゼンが増えました。私はまだ慣れていないので、オンラインプレゼンのスキルを早急に身に付けたいです」
「コロナ禍を機に、オンラインでの新製品発表会やプレゼンが増えました。私はまだ慣れていないので、オンラインプレゼンのスキルを早急に身に付けたいです」

―― そうした環境の中、PR担当としてどんな工夫をしていますか?

 ブランド、製品のコンセプトや効果を自分なりに落とし込んで伝えられるようにしています。例えば、自分がモデルとなって使用感をアピールする資料を作るなど、「どうすれば相手に伝わるか?」といった客観的な視点を取り入れるように心掛けています。

 バラエティーショップやドラッグストアへ頻繁に足を運び、さまざまなコスメのパッケージを研究したり、トレンドの化粧品をチェックしたりと、エンドユーザーの目線に立つことも大事にしています。

―― 女性の気持ちを理解するために、やっていることがあれば教えてください。

 今、メイクの勉強をしています。8月に新発売するジェンダーフリーのコスメ「ゼットエマ」シリーズのPRに向け、私もBBクリームなどを使ったメンズ向けメイクを研究しています。メイクをしてみて分かったのは「スキンケアやメイクは自分と向き合う時間」だということ。男性は、朝起きて、洗顔して、寝癖を直すだけで外出できますが、女性はスキンケア、メイク、ヘアスタイリングで出掛けるまでに30分以上かける人が多いですよね。その分の時間も「自分磨き」の一環だと考えたら、すごくすてきだな、と思ったんです。

「フランス発のオーガニックコスメ『ゼットエマ』はジェンダーフリーなので、私も説得力を持ってPRできます。男性向け媒体にもどんどんPRしていきたい。ここが腕の見せどころです」
「フランス発のオーガニックコスメ『ゼットエマ』はジェンダーフリーなので、私も説得力を持ってPRできます。男性向け媒体にもどんどんPRしていきたい。ここが腕の見せどころです」

 私も初めてメイクしたときは、まるで別人になったような気恥ずかしさを感じましたが、コンプレックスだったひげの跡を自然にカバーできましたし、肌色が整ってうれしかったです。女性がメイクする気持ちを理解できたと同時に、自分に手をかけることが自信につながるんだと気が付きました。