経営者や政治家のスピーチライターとして活躍してきた言葉のスペシャリスト・ひきたよしあきさん。ビジネスはもちろんプライベートでも役立つ、「思わず人を動かす」言葉の使い方を解説。ロジック、立場、お金の力で人を動かすのではなく相手が反射的に動いてしまうような魔法の言葉を紹介していきます。

doorsアカデミー ひきたよしあき 思わず動きたくなる言葉

 この春、昇進や異動で「リーダー(マネジメント)職」になった人も多いと思います。おめでとうございます。努力が報われましたね。

 でも、うれしい半面、「リーダーなんてなりたくなかった」「私には、無理! 周囲を巻き込む力がない」「命令できないし、お願いするのは苦手」なんて悩んでいる人もいるでしょう。

 それもそのはず。これまでは自分個人の仕事に目を向ければよかったのに、これからは周囲の心と力を合わせて、より責任の大きな仕事をしなければならない。初めてのリーダー経験で「私にできるだろうか」と不安に思うのは当たり前のことです。むしろここで悩まなければ、自分の能力を過信し、人の心を読めないリーダーになってしまいます。

 「今ある不安、躊躇(ちゅうちょ)、心配の中に、リーダーシップが芽生えつつある」

 自分の胸に手を当てて、そう言い聞かせてください。大丈夫、あなたならできます。

「私がやったほうが早い」を封印しよう

 さて、チームのマネジメントをし始めたこの時期に考えがちなのは、

 「私がやったほうが早い」

 ということ。「人に命令したり、お願いしたりするよりは自分でやってしまったほうが早い」「人からあがってきた仕事の修正ポイントを言い聞かせるより、私がやったほうが効率的だ」。人を巻き込む力の不足を、自分の仕事量を増やすことで補おうとする。これほど危険なことはありません。

 部下には、「信頼されてないんだな」と思われます。独りよがりなリーダーは、どんなに努力しても自分サイズのものしかアウトプットすることができません。何より、心と体によくない。

 「私がやったほうが早い」と思っても、そこをぐっと我慢して、あなたのリーダーシップを磨くことに気持ちをシフトさせていきましょう。

 次のページからは、リーダーに必要な「人に頼る力=お願い力」の基本を、具体的な事例とともに学んでいきます。