経営者や政治家のスピーチライターとして活躍してきた言葉のスペシャリスト・ひきたよしあきさん。ビジネスはもちろんプライベートでも役立つ、「思わず人を動かす」言葉の使い方を解説。ロジック、立場、お金の力で人を動かすのではなく相手が反射的に動いてしまうような魔法の言葉を紹介していきます。
doorsアカデミー ひきたよしあき 思わず動きたくなる言葉
doorsアカデミー ひきたよしあき 思わず動きたくなる言葉
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1味気ない自己紹介改善法 人の心をつかむ魔法のフレーズ
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2指示・お願いが苦手 周りが進んで動くリーダーの伝え方
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3プレゼン必勝 印象が劇的に変わるスピーチと演出裏ワザ
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4会議の生産性を上げる口癖 意見や企画を通すコツ
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5人間関係を悪化させず さらっと上手に断る4つの手法←今回はココ
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6根回しが苦手…価値観の合わない上司を味方にする方法
主張の強い人が、断ることが苦手な人を使い倒しているような風潮もある世の中。良好な人間関係づくりには、断る勇気も必要です。
実は私も「断る力」の弱さから、「やりがい」と「心身の負担」の間で苦しんだことがあります。今回は、どんな人間関係もさらっと気持ちのいい距離に保つ「断り方」のコツをお伝えします。
ある企業の名物宣伝部長が、食事の席でこんな話をしてくれました。
「企業でも人間でも、一番大切なことは『気持ちのいい距離感』を保つこと。仲が良すぎて断りたいときに断れない、相手との距離が遠過ぎて、声をかけたいときに見つからない、それではダメだ。
『断る勇気』といつも近くにいる『存在感』とを併せ持つ。そういう社会人を目指しなさい」
まだ20代でしたが、「気持ちのいい距離感」という言葉は胸に沁(し)みました。
当時の私は、この力がものの見事に欠けていました。あの頃の広告クリエイティブの世界は徒弟制度。「できません」と言えば、その後どんなに恐ろしいことが待っているか、想像もできません。
無理をするから仕事が荒れる。そのせいで余計にプレッシャーを感じてしまう。仕事ばかりか、「つきあいが悪い」と言われるのが怖くて、食事の誘いも断れない。悪循環が続いて、重い病気にかかりました。そのとき初めて真剣に、「断る勇気」の必要性を感じたのです。