経営者や政治家のスピーチライターとして活躍してきた言葉のスペシャリスト・ひきたよしあきさん。ビジネスはもちろんプライベートでも役立つ、「思わず人を動かす」言葉の使い方を解説。ロジック、立場、お金の力で人を動かすのではなく相手が反射的に動いてしまうような魔法の言葉を紹介していきます。

doorsアカデミー ひきたよしあき 思わず動きたくなる言葉

 主張の強い人が、断ることが苦手な人を使い倒しているような風潮もある世の中。良好な人間関係づくりには、断る勇気も必要です。

 実は私も「断る力」の弱さから、「やりがい」と「心身の負担」の間で苦しんだことがあります。今回は、どんな人間関係もさらっと気持ちのいい距離に保つ「断り方」のコツをお伝えします。

 ある企業の名物宣伝部長が、食事の席でこんな話をしてくれました。

 「企業でも人間でも、一番大切なことは『気持ちのいい距離感』を保つこと。仲が良すぎて断りたいときに断れない、相手との距離が遠過ぎて、声をかけたいときに見つからない、それではダメだ。

 『断る勇気』といつも近くにいる『存在感』とを併せ持つ。そういう社会人を目指しなさい」

 まだ20代でしたが、「気持ちのいい距離感」という言葉は胸に沁(し)みました。

 当時の私は、この力がものの見事に欠けていました。あの頃の広告クリエイティブの世界は徒弟制度。「できません」と言えば、その後どんなに恐ろしいことが待っているか、想像もできません。

 無理をするから仕事が荒れる。そのせいで余計にプレッシャーを感じてしまう。仕事ばかりか、「つきあいが悪い」と言われるのが怖くて、食事の誘いも断れない。悪循環が続いて、重い病気にかかりました。そのとき初めて真剣に、「断る勇気」の必要性を感じたのです。

人間関係の距離を保つためには、「ここから先は入れさせない」「ここまでしかしゃべらない」と相手に合わせて一線を引くこと。「断り方」にはコツがあります
人間関係の距離を保つためには、「ここから先は入れさせない」「ここまでしかしゃべらない」と相手に合わせて一線を引くこと。「断り方」にはコツがあります
手法1 自ら進んで○○を言わない/手法2 ○○から始める/手法3 ○○→後で断る/手法4 ○○力(「○○んなよ」)を持つ