「自分らしい人生の扉をひらこう」…これが日経doorsのキャッチです。まずは自分らしくいられるための場所が必要。そんな「空間」をこれまで5カ月にわたって紹介してきた本連載も今回が最終回です。ラストは「願い」を込めて人生のドアを開けるために、ふさわしい場所を紹介します。「宿坊」です。
人は祈る。祈りのパワーを行動に変えて、失敗しても深く沈めば高くジャンプできる。人生とはそういうもの。仏教女子でなくても、誰もが皆、苦しいときや、つまずいたとき、あるいは新年の幕開けには、お寺や神社に行って祈りをささげ、願いを送り、自分の魂を洗います。
神社仏閣には、人の心を清らかにする力があります。できれば、そこに長く滞在し、心も体も魂もクレンジングしたいものですが、遠方だったり、仕事があったりで、なかなかゆっくりいられない……。
しかし、2019年7月にオープンした「Temple Hotel 正伝寺(しょうでんじ)」ならできそうです。東京のど真ん中にありながら、広々とした客室の宿坊で「暮らすように泊まる」体験をすれば、自分らしさを取り戻せそう!
Temple Hotel 正伝寺がある日蓮宗松流山(しょうりゅうざん)正伝寺の歴史をさかのぼりましょう。もとは、豊臣秀吉や徳川家康の時代に生きた第107代天皇が晩年に過ごした庵でした。その草庵が「九州松尾山光勝寺」(日蓮宗)の江戸出張所として改められ、「松流山正伝寺」として正式に建立されたのが1602年。現在は42代目の住職、田村完浩(かんこう)さんが寺を守り、時代のニーズに沿ったさまざまな取り組みをしています。その一つが、Temple Hotel 正伝寺というわけ。
宿泊パッケージは特になく、好きなようにステイが楽しめます。本堂の横にもとからあった庫裏の1階の部屋と2階の部屋に鍵を付けて、宿として提供。フロントはなく、入り口に設置された端末(テレビ電話)を操作してチェックイン・チェックアウトできます。洗濯機も付いた広々とした客室のため、友人の家(住職の家?)にお世話になっている感覚になるかもしれません。そこが魅力。