攻め方を変えてみた

 どうにかして、せめて平均点を取れないかと考え始めました。そして、小学校3年生のある日、国語でいくつかの単語を使って作文をするテストがありました。このとき、ある作戦を思いついたのです。私の苦手なものは、スペル、文法、語彙。これは、諦めよう。逆に発想して、私にあるものは何か。

イギリスの学校で、苦手だった英語を教えてもらう代わりに、得意な体育をみんなに教えるナージャ
イギリスの学校で、苦手だった英語を教えてもらう代わりに、得意な体育をみんなに教えるナージャ

 きっと海外で見つけた、「人と違うモノの見方」です。精いっぱい内容を面白くしました。結果、技術は、0点。内容は、100点。平均は50点! なんとか、サバイブできたのです。そうか、苦手なものは苦手だと割り切って、違う角度から攻めればいいのか

 「苦手」なことから逆算して、どうサバイブできるかの試行錯誤は、中学生の頃まで続きました。中2のとき、ついに自分なりのベストなサバイブの法則を確立します。

ルールの抜け道を探して自分がサバイブできるやり方に変える

 カナダの中学校で、市内の同学年全員が出す「コミュニティー」がテーマのエッセーコンクールがありました。英語がまだ苦手な私は、またもや気が重かったのです。ここでも苦手なことは諦めよう。そうだ。体裁をポエムにしよう。語彙が少なくても、文法が変でもポエムだと味になります。いちかばちか。私は、コミュニティーという言葉から連想される地域社会といったことではなく、自分の頭の中にある「思考回路」をコミュニティーと見立てて、その様々な感情や葛藤を描きました。驚くことに、優勝したのです。同級生や英語の先生ですら、私が苦手な英語が問われる競技で優勝したのが信じられなかったようです。

 私はただ、自分の「苦手」をしっかり把握して、そこからルールの抜け道を探して、自分がサバイブできるやり方に変えただけです。これが、私のサバイブするための法則でした。

 思い切って、他の科目にも導入。人見知りで、しゃべれないプレゼンは絵をふんだんに使う。演劇は、言葉を使わず体を動かして表現する、理科の実験はオリジナルなテーマを設定する……「苦手」な分野を持ったまま、むしろ「苦手」な分野があったからこそ、私は1年もしないうちに落ちこぼれから学年のトップクラスになりました