チルと挑戦と幸せと

 この国に来て学んだことは、総じて言うと「チル」すること。Chillとは、冒頭でも触れたが英語の俗語でリラックスする、落ち着くという意味。私がもしまだ日本にいたら、“Chill out, come the f*** down” と伝えてあげたいと思い、この言葉をタイトルにつけた。つまり、「ねえちょっと、まじで落ち着こーぜ」ということ。

 日本はメディアを見ても分かる通り、どうやって成功するか、どうやって成長するか、どうやってキャリアを築くか、どうやって出世するか、どうやっていい人と結婚するか、どうやって定年までに十分稼ぐか、どうやって容姿を磨くか、などが溢れている。ちょっと日本、頑張り過ぎだよ。肩肘張り過ぎだよ。ちょっと落ち着いてゆっくり行こーぜ、と伝えたい。

 個人的に、この「チル」という言葉には、自分をとにかく大事にすること、他の人に自分の目標をつくらせないこと、過去と未来ではなく「今」を考えること、などなどいろいろ意味を込めた。チルライフは幸せな人生につながっている。こんな考え方を少しずつ、ひもといていきたい。

 チルすることと挑戦することは、180度方向が違うように思うかもしれない。けれど、私がここで気付いたのは、チルすることで、自分が本当にやりたいことに忠実になって、気楽な気持ちで一歩踏み出せる、ということだ

 今、私は欧州最大規模のテックカンファレンスのプログラムマネージャーとしてアムステルダムで働いている。同僚は20カ国以上の国々から集まったメンバーだ。バックグラウンドもさまざまで政府系機関で働いていた人もいれば、スタートアップを立ち上げた人、ラグジュアリーブランドのマーケティングをやっていた人などがいる。そんな私がオランダでチルライフを送りながら感じたことや、昔の日本にいた自分に伝えたいこと、こちらの視点から考える女性活躍など、より多くの女性がチルしながらリーンインするためのTipsをこの連載でシェアしていければと思っている。

国際女性デーでは女性社員でハイティーランチ(High tea lunch)。素敵な仲間たちです
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文/鈴木伶奈