昔の労働組合は強かった

 育時連のような活動が可能になった理由の1つに、労働組合が強かったという点があります。今日の企業における組合は弱体化しました。ここ30年以上、経営陣が「改革」を叫び続け、組合が「守り」を叫び続けているというのが実態です。

 労働組合が守ろうとしているのは正規雇用の「オッサンの既得権」にすぎません。組合がしっかり活動できていた時代には、経営側に要求を突き付け、産前産後休業の期間を延長したり、育児休業を取得したりと、労働者の権利を勝ち取っていました。女性社員に課された「お茶くみ当番」も、問題として取り上げて解決した組合もありました。

 私が組合に組合費を払ってきた理由は「自分が不利な目に遭ったときに守ってもらえる」という組合に対する信頼への投資です。でもその「信頼」が今や、ほとんどなくなっています。組合の組織率が下がり、助けてもらえない社員は会社の組合ではなく、地域ユニオン(合同労組)に訴えるようになりました。そこでは、契約社員や非正規社員の賃金不払いなどについて、地道な闘いを続けています。労働の規制緩和が進み、非正規雇用者が膨大に生み出される間、組合は非正規雇用者を組織しようとしてこなかったからです。

 日本の労働組合は、以前は「闘う組合」でした。ストライキもピケ(ピケッティングの略。ストライキが行われている事業所などに労働者の見張りを置き、スト破りの就労阻止、他の労働者へのストライキ参加の促進、一般人へのストライキのアピールなどをする行為をいう)もやりました。1950年代から60年代まで闘う組合だったのが、総評(日本労働組合総評議会)が解散して連合(日本労働組合総連合会)(1989年)ができて骨抜きにされました。

※ 次回は「世代別の専業主婦のイメージや、社会における女性の位置付けの変化」について伺います。

構成/小田舞子(日経xwoman編集部) 看板撮影/徳永 彩(KiKi inc.) イメージ写真/鈴木愛子