現在20歳の冨樫真凜(とがしまりん)さんは、日本初の「ネットの高校」として話題を集めた通信制高校の角川ドワンゴ学園N高等学校の第1期卒業生。中学生でニュージーランドへ単身留学し、帰国後はN高へ進学。多くの人がたどる道をあえて選ばず、常に「やりたいことをやるためには?」を考えながら歩んできました。この連載では冨樫さんがターニングポイントで選択したこと、考えていたことをお伝えしていきます。「人と違うことをするのは怖くない!」「こんな考え方もあるんだ」と視野を広げるヒントが見つかるはず。

学校で勉強する意義を見いだせなかった中学時代

 日経doors読者の皆さん、はじめまして。冨樫真凜です。

 私は現在、幼児教育や子育て分野での起業を目指し、一般企業で働きながら準備を進めています。「技術の力で育児を安全に、もっと楽にしていきたい」という思いがあり、「Baby」と「Technology」を融合させた「Baby Tech(ベビテック)」分野で事業を展開することが私の目標です。

 今、20歳の私が「自分で事業をやりたい」と考えるようになったのは、中学生のときから「本当にやりたいこと」だけを追求し、勇気を持って「みんなと違う道」を進んできたからだと思います。

 連載第1回では、私がなぜ通信制高校の角川ドワンゴ学園N高等学校(以下、N高)へ進学したのかをお話しします。そもそも私が通信制高校を選んだきっかけは、中学を卒業せずに単身留学したことに遡ります。

 13歳だった当時、私は普通に中学校に通っていました。一緒にワイワイできる友達もいるし、いじめに遭っていたわけでもないのですが、なんとなく「楽しくないなぁ」と思っていました。ワクワクすることもないし、自分が成長している実感がありませんでした。部活では1学年違うだけなのに敬語を使わなければいけない日本独自の学校文化も窮屈に感じ、定期テストのために勉強しているような気がして、学校に行く意義を見いだせなかったんです。

 この頃から、漠然と保育関係の仕事をしたいと思うようになったのですが、「このままだと、自分の好きなことを学ぶタイミングはいつになるんだろう……」と、もやもやした気持ちになることが多くなりました。

 中2になり、進路を考えるタイミングがやって来ても、どうしても高校へ行く気になれませんでした。本当に「行きたい!」と思う高校も見つからないし、当時、高校生だった兄の姿を見ていて「高校に行っても、中学と同じことを繰り返しているだけじゃん……」と思ったからです。

 これからの3年間を、また学校に費やすことに疑問が湧き、他の選択肢はないかを考え始めました。中卒で働く道も考えましたが、就ける仕事が限られていることを知り、就職は断念。そこで思いついたのが、海外留学でした。