どこで拾ってきたのか。いつから住みついたのか。誰もが抱えているであろうコンプレックスは、自分を苦しめる原因にもなる半面、私たちを成長させる武器にもなります。気になるあの人は、コンプレックスとどう向き合っているのでしょうか?
今回は、TBSの情報番組「王様のブランチ」のリポーターとして活躍し、婚約の破談を乗り越えて起業家として活躍中の福井仁美さんに話を聞きました。上編では20代で抱えていた「地黒コンプレックス」について、下編では婚約破談後、起業家として活躍するまでの紆余曲折(うよきょくせつ)をお届けします。
(上)元王様のブランチリポーター福井仁美 地黒に悩み抜いた ←今回はここ
(下)福井仁美 婚約破談・仕事ナシのどん底から経営者へ
肌の色が黒いことが、コンプレックスだった
編集部(以下、――) タレントとして大きく軌道に乗り始めた仕事が、TBSの情報番組「王様のブランチ」のリポーターだったそうですね。タレントの仕事を始めたきっかけは?
福井仁美さん(以下、福井) 当時は、女子大生などがファッション誌に登場する「読者モデル」の全盛期で、私も大学の入学式で声をかけられて、雑誌に写真を掲載していただきました。それがきっかけで読者モデルとして活動し始め、芸能事務所に所属したり、テレビ番組に出演したりしたことでTBSの方と出会い、「王様のブランチ」のオーディションを受けることに。「王様のブランチ」のリポーターは、2008年~2015年の約8年務めました。
―― 当時は、肌の色が黒いことがコンプレックスだったそうですね。地黒であったことは、普段の生活や、リポーター、タレントとしての仕事にどんな影響があったのでしょうか?
福井 子どもの頃から色が黒いことはコンプレックスでしたが、タレントとしても「地黒は万人受けしないな」と感じていました。当時は、色が白くて清楚(せいそ)な印象の女性が人気だったので、地黒というだけで不真面目な印象を持たれて、「遊んでいる」と思われたこともあります。
どこにも出かけていないのに、「(肌が)焼けているね。どこに遊びに行ったの?」と悪気なく聞かれることはよくありましたし、CMのオーディションに参加したときには、「撮影までに日焼けは戻せますか?」と聞かれたこともあります。
女優の仕事をしようとドラマなどのオーディションを受けても、ナース(看護師)や女性会社員役は、「イメージと違うから」と落ちることが多かったです。もちろん、実力不足が不合格の一番の原因ですが、当時は「肌が黒いからイメージに合わないのだ」と、うまくいかないことを地黒のせいにしていた部分もあります。