どこで拾ってきたのか。いつから住みついたのか。誰もが抱えているであろうコンプレックスは、自分を苦しめる原因にもなる半面、私たちを成長させる武器にもなります。気になるあの人は、コンプレックスとどう向き合っているのでしょうか?
今回は、TBSの情報番組「王様のブランチ」のリポーターとして活躍し、婚約の破談を乗り越えて起業家として活躍中の福井仁美さんに話を聞きました。上編では20代で抱えていた「地黒コンプレックス」について、下編では婚約破談後、起業家として活躍するまでの紆余曲折(うよきょくせつ)をお届けします。
(上)元王様のブランチリポーター福井仁美 地黒に悩み抜いた
(下)福井仁美 婚約破談・仕事ナシのどん底から経営者へ ←今回はここ
「王様のブランチ」卒業後、婚約が破談に
編集部(以下、――) 結婚が決まり、28歳のときに「王様のブランチ」のリポーターを卒業されたそうですね。
福井仁美さん(以下、福井) はい。結婚後は家庭に入ることを決めて、経済的にも不安がない状態で婚約したのですが、式を挙げる前に破談になってしまって。破談になった時点で「王様のブランチ」は卒業していたし、当時所属していた芸能事務所も辞めていたので、途方に暮れました。
貯金はあったものの仕事はなかったので、当時住んでいた広めの家から、犬と枕だけを抱えて狭いワンルームに引っ越し、家具も何もない部屋の床で寝るような生活からスタートしました。「お先真っ暗とはこのことだな……」と思いましたね。
―― その後、まずはPR業で起業したそうですが、リポーターに戻る選択肢はなかったのでしょうか?
福井 「大変お世話になりました」とあいさつしてリポーターを卒業した手前、「もう一度リポーターに戻してください」とは言えなかったですね。人からどう見られているのかが気になり、「婚約が破談になってかわいそう」と思われることも恥ずかしくて。「ダサく生きたくない」というプライドもあったので、「大丈夫な人」を演じていないと大丈夫でいられなかったんです。
―― その状態から、どのような行動を起こしたのでしょうか?