2021年秋、18年半アナウンサーとして勤務したテレビ朝日を退職し、スタートアップの旅行会社、令和トラベルに転職した大木優紀さん。その大木さんに、20代、30代、40代でそれぞれやめたこと、始めたことを聞きました。後編は40代。自分でも予想だにしなかった人生の大転換点を迎えます。

(上) 元テレ朝アナ大木優紀 仕事、結婚、出産…全力疾走で
(下)大木優紀 41歳テレ朝アナ辞め、スタートアップ企業へ ←今回はここ

運命を変えたnote記事

「アナウンサーとして充実した仕事をしながらも、『もし私がアナウンサーになっていなかったら、どんなキャリアを歩んでいたかな』と思うことが何度かあった」という大木さん。「30代になったあたりから、会社員の友人の活躍を見聞きするたび『私がその会社にいたら、どういう役割を果たせていたのかな』と考えることもあって。心のどこかに『アナウンサー以外の仕事もしてみたいな』という気持ちがありました」
「アナウンサーとして充実した仕事をしながらも、『もし私がアナウンサーになっていなかったら、どんなキャリアを歩んでいたかな』と思うことが何度かあった」という大木さん。「30代になったあたりから、会社員の友人の活躍を見聞きするたび『私がその会社にいたら、どういう役割を果たせていたのかな』と考えることもあって。心のどこかに『アナウンサー以外の仕事もしてみたいな』という気持ちがありました」

 忘れもしない、2021年4月5日。仕事を終えて帰宅し、夜、子どもたちを寝かしつけた後、私はベッドの中でスマホでネットサーフィンをしていました。眠れない夜はそうやって寝落ちする習慣があるんです。

 ふと、今勤めている令和トラベルの社長、篠塚孝哉の「【長文】株式会社令和トラベルはじめます。」というタイトルのnote記事が目に留まりました。当時は令和トラベルという社名も、社長の名前も知りませんでした。何気なく読み始めたのですが、読み終わった瞬間、「私、この会社で働きたい」と思ってしまったんです。記事の終わりに「採用ページをのぞきに来てみてください。社員ナンバー20番ぐらいまで、この秋までに探していきたいと思っています。あと10人」と書かれていました。「え、今、エントリーしちゃう?」とドキドキしましたが、いくら何でもそれは衝動的すぎるだろうと思い、「1週間ぐらい寝かそう」と思って、その日はひとまず寝ました。そして1週間後、また子どもたちを寝かしつけた後、今度は覚悟を決めてパソコンを開き、エントリーフォームに思いをしたためました

 私はとにかく、海外旅行が好きで、年に何度か家族で海外旅行をしていました。それが仕事のモチベーションにつながっていたと言っても過言ではありません。しかし、時はコロナ禍真っただ中。海外旅行客数が激減し、旅行会社が大打撃を受けているという状況下で、「海外旅行客数は必ずいつか戻ってくる。市場がゼロリセットされている今だからこそ、新規参入のチャンスだ。今こそ新しい海外旅行会社を立ち上げよう」という社長の気概に感動しました。好きな海外旅行を仕事にでき、しかも、何もないところから新しい事業を立ち上げていける。私もその一員となって、会社の成長をこの目で見届けたいという強い思いがいきなり芽生えてしまった。とはいえ私にできることといったら、話すことやプレゼンすることぐらい。役に立てるかどうかは不安でしたが、「新天地で頑張りたい」という思いを書き連ねてエントリーしたところ、約1週間後にZoomで初回の面談。5月の連休明けに篠塚とのZoom面談が行われることになりました。