新型コロナウイルス感染症の広がりによって、かつてない不安を抱え、窮地に立たされているわたしたち。そんななかでも「自分にできること」を探し、立ち向かっている人たちがいます。そんな人たちの奮闘ぶり、メッセージをご紹介します。

 「八百屋である私達が、医療崩壊を防ぐために何かできることはないか考えています」――これは、食品宅配事業を行うオイシックス・ラ・大地の高島宏平社長が2020年4月16日に自身のFacebookページへ投稿した一文だ。

 新型コロナウイルスが医療機関に及ぼしている深刻な影響について、何かできないか。この投稿が大きなきっかけとなり、ある一つの支援が動き始めた。

医療従事者へ食のサポートを

 高島さんの投稿から4日後、食品の提供を希望する企業や団体と、支援を必要とする病院とのニーズのマッチング・配送を行うプラットフォーム、「WeSupport」が設立された。

 「WeSupport」は、新型コロナウイルスの治療において、健康と命を守ってくれている医療従事者への食を通した栄養サポート、また、不安や緊張感の緩和を目的としている。また、このようなプラットフォームをつくることで、食品物資を受け取る医療機関側の調整などの負担を軽減し、必要なものが必要な場所に、安全に届けられる仕組みを目指している。

 そして、発案からわずか1週間後、18社のサポート企業の元、東京都の感染症指定医療機関を対象に、食料物資の配送が始まった。

「WeSupport」の取り組み図(提供/オイシックス・ラ・大地)
「WeSupport」の取り組み図(提供/オイシックス・ラ・大地)
病院に届けられる「食」の支援 2020年4月23日撮影(提供/オイシックス・ラ・大地)
病院に届けられる「食」の支援 2020年4月23日撮影(提供/オイシックス・ラ・大地)
病院に届けられる「食」の支援 2020年4月23日撮影(提供/オイシックス・ラ・大地)

心身疲弊の医療従事者の声

 このような取り組みを呼びかけた背景には、オイシックス・ラ・大地がヒアリングを行った医療現場からの声があった。

心身ともに疲弊している、ストレスのマネジメントが大変」
「患者を優先して職員用の給食はストップしている」
「忙しくて食事を買いに行く、注文する時間がない
「やむをえず災害備蓄用の食品を食べることもある」

 外からは見えづらい医療現場の状況だが、前線の医療従事者が心身ともに過酷な状況にいることは明らかだった。

きっかけは、医療の最前線で働く人の声だった(写真イメージ/PIXTA)
きっかけは、医療の最前線で働く人の声だった(写真イメージ/PIXTA)