休館している図書館も多い今、自宅での読書時間に、日経doorsの連載小説をまとめ読みするのはいかがでしょうか? 2019年夏から毎月連載していた「踊り場の私たち」。就活、転職、恋愛、女子力への違和感、母との距離、出産……人生の転機を迎えた6人の物語が交錯する小説、一気に紹介します。
◆「やりたいことが、ない」――就活中のモヤモヤが…
21歳、大学生のシオリは、最近、就職活動を始めたばかり。明るい性格でなにかと器用なので、勉強も恋愛もそつなくこなしてきた。友人も多く毎日楽しいが、これといった特技や情熱を傾けられるものがないのが悩み。「21年間見つからなかったやりたいことが、今さら見つかる気なんてまったくしない」。スタバのカフェでエントリーシートを前に呆然としていたシオリは……。
◆親友の結婚報告にざわつく心 彼とは潮時なのかな
カオルは24歳、生花店に勤務している。話し方がハキハキしているので、さっぱりした性格と思われがちだが、実は面倒見のいいタイプ。学生時代からの彼氏は妻帯者で、友人からは反対されている。親友からの結婚報告に、積もっていた気持ちがついこぼれ落ちた。
◆「女らしさなんて後回しだ」ゴルフ場での出会い
タカコは27歳の会社員。マイペースでのんびりとした性格で、女の子らしい服装やノリが苦手。会社で女子キャラを期待されても、応えられない。趣味はアイドルの追っかけで“推し”への想いは誰よりも強い。だがこの日は、職場のおせっかいで、ゴルフコンペに参加させられてしまった。
◆結婚を急かす母との距離 勇気をもらった会社の会議
会社員のレイカは30歳。明るく朗らかな人柄で、職場でもプライベートでも人間関係は良好だが、唯一、結婚を急かしてくる母親との距離感が悩みのタネだ。会議の最中、スマホに届いた母からのメールについ、しかめっ面をしてしまった。母との距離の取り方が、年々分からなくなっている。
◆33歳、入社10年。転職を考えるけど、失敗が怖い
ミサキは今の会社に入社して10年。社内報の制作を担当し、責任感が強く、自分の仕事はきちんとこなすしっかり者だが、根っからの安定志向で、新しいものに飛びつけない性格が悩み。「33歳にもなって、チャレンジする勇気がない」と嘆く。そんなミサキが行きつけのお店で酔った勢いでひとりの女性に話しかけて……。
◆仕事か子どもか 背中を押したあの子
36歳のサオリは、マネージャー職についたばかり。これまで転職を3回、結婚を2回している。モットーは「人生は楽しく」。最近、年齢のこともあり、そろそろ子どもが欲しいと思うようになった。夫ともそんな話をしているが、悩んでいるのはキャリアとの両立。何を優先し、何を捨てるのか。ある日、サオリは新卒の面接官をして、学生の言葉にハッとする。