政治分野に女性比率が少ない日本に不安

 では、日本の多様性はどうでしょう。日本のジェンダー・ギャップ指数(男女格差指数)は低下中です。昨年は121/153位で、先進国では最下位。特に政治分野が押し下げているそうで、この分野はなんと144/153位。また、女性議員比率の世界平均は24%ですが、日本は10%。つまり10人いたら女性は1人ということ。政治は、国家の基盤となる法律を定めている場です。そう考えると、この状態で、女性を含めたすべての国民に行きわたる政策を考えるのは難しいのではないか、と感じてしまいます。

ポストコロナはより多様性が求められる

 今回のコロナ禍における女性リーダーの活躍については、女性だからよかったのか、と問われると、検証が必要なところです。しかし、これらの国々は、総じて「多様性のある、誰もが生きやすい国」だと思います。これからの日本や世界は、新型コロナウイルスの影響や大量消費時代の終焉(しゅうえん)により、経済的にも環境的にも無茶ができない、より節度ある生活が求められる時代になると考えています。競争ではなく、個人一人ひとりが尊重され、能力を発揮することが必要になります。そんな時代に即して、より生きやすい社会にするためにも、これらの国の「多様性に対する姿勢や、施策」を見ることは有意義です。さらに、それを強く推し進めるためにも、女性をリーダーにする、という選択肢も有効なのではと感じます。

取材・文/堂原有美 写真/ロイター/アフロ(1枚目)、堂原さん提供