「大倉パパ頑張って」が励みに

 リーダーというのはいつも明るく、大丈夫だよと楽観的な面を見せることが大事だと思っています。だからその後も1週間に1回は従業員宛てにメッセージを送っていました。それだけでなく、ツイッターも従業員を意識して投稿していました。内容は、食事の様子や日常のささいなことにすぎないのですが、なるべく暗くならないよう、明るい気持ちになれるような投稿を繰り返しました。社員だけでなくアルバイトやパートで働いている皆さんもフォローしてくれていますからね。少しでも暗い気持ちを払拭してほしいという一念でした。

 そのうちにフォロワーから「大倉パパ(編集部注 大倉忠司社長の長男は関ジャニ∞の大倉忠義さん)、頑張って」という声も頂くようになり、私自身も励まされました。息子の七光のおかげだなとも感じ、ありがたかったです。

 従業員に明るい表情を見せる一方で、役員や幹部社員には危機感を伝えました。「このままでは存続も危ぶまれるよ。今は企業の存続を第一優先に考えよう。まずは出血を止めなければならない」と。経営者は楽観的であると共に、悲観的に最悪なシナリオも常に考えておく必要があります。このままでは鳥貴族は本当に死んでしまうかもしれない。焦燥感から起死回生の一打を考えることにしました。

全国展開している鳥貴族の店舗。空中店舗(2階以上への出店)が多い/鳥貴族提供
全国展開している鳥貴族の店舗。空中店舗(2階以上への出店)が多い/鳥貴族提供

路面店ではない けれどテークアウトを検討

 まずはできることから始めようということで、持ち帰り商品の販売を検討しています。同業他社のなかでも4月、5月の売り上げが顕著なところは、持ち帰りに切り替えた業態です。

 ただ鳥貴族はこれまでコストをかけずに出店することを優先してきたために、路面店ではなく、ビルの2階や3階の店、空中店舗が多かった。そういう店でもどうテークアウトに対応すればいいか、試行錯誤を重ねています。SNSを使ってテークアウトの認知を広めたり、電話で注文できるようにしたりといろいろな方法があると思います。それに持ち帰りであれば、これまで主に来店していただいた若い層だけでなく、より幅広い年齢層の方にご利用いただけるのではと考えています。