「鳥貴族」ブランドにはこだわらない

 そしてこのままコロナが収束し、既存店の業績が回復してからになるかとは思いますが、新しい業態へもチャレンジしたい。私自身も在宅勤務やオンライン飲み会を経験しましたが、自粛生活を経て改めてフェース・トゥ・フェースのコミュニケーションをしたいというニーズが出てくると思います。居酒屋はそういうコミュニケーションには最高の場です。このコロナを経て改めて居酒屋の存在意義が見直されたと思うんです。

 その一方で、やはり危機に強い業態でなくてはならない。コロナウイルスが収束した後も、10年おきくらいにパンデミックが発生すると言われています。そうした状況下でも耐えられる業態を考えたい。「鶏肉を扱う」という基本姿勢は変わらないものの、新しいビジネスモデルを模索しています。

これまでは鳥貴族ブランドにこだわり、単一業態で国内2000店舗達成を目標にしていたが、コロナ禍の影響もあり「違うビジネスモデルを検討中」と話す大倉社長
これまでは鳥貴族ブランドにこだわり、単一業態で国内2000店舗達成を目標にしていたが、コロナ禍の影響もあり「違うビジネスモデルを検討中」と話す大倉社長

 例えば、テークアウトに注力した業態もあるでしょうね。今後もオンラインで飲み会をしたいという人はいるはずなので、そのときの食事を提供するサービスがあってもいいと思います。出店する立地も変わるはずです。会社に出勤するという行動自体が少なくなるなか、これまでと同じように繁華街に出店するのでいいのか。もしかしたら住宅地に店を構えたほうがいいかもしれない。さまざまなことを検討しています。

 もともとコロナショックが起きる前から鳥貴族というビジネスモデルもいずれ国内市場で飽和状態になることは分かっていたし、新業態の開発計画を社内で計画は進めていました。ただ、こういう状況になり、業態開発のスピードをもっと速めていこうと、社内に号令をかけています。