新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除され、段階的にかつての日常に戻りつつあるものの、感染の不安は消えない。第2波がきたとされる地方もあり、冬には再び感染拡大する恐れあり、と警鐘も鳴らされる。

 外出自粛は緩んだものの、以前とは違う景色の中で、「収入が減るかもしれない」「転職できないかもしれない」「先が読めないから動けない」「こんな状況で結婚や出産なんて考えられない」……胸の奥に不安な気持ちがずしんと重く沈んでいないだろうか。

 32歳で創業者の父の後を継いでダイヤ精機の2代目社長となった、諏訪貴子さんは、社長就任直後に、会社存続のためにリストラを断行し、リーマン・ショックでの受注減による大赤字も経験した。そんな数々のピンチを乗り越えて、会社をV字回復させた諏訪さんに、「先行きが見えない」withコロナ時代を生き抜くための秘訣を聞いた。

社長就任後のリストラ断行、リーマン・ショックでの赤字…これまで危機を何度も経験してきた諏訪貴子さん
社長就任後のリストラ断行、リーマン・ショックでの赤字…これまで危機を何度も経験してきた諏訪貴子さん

非常時に落ち着いていられる理由

 緊急事態宣言は解除されましたが、先が読めない毎日ですよね。うちの会社もさまざまなリスクを抱えていますが、私自身は、落ち着いています。これまで数々の危機を乗り越えて、「先のことを心配しすぎると前に進めなくなる」と知っているからです。

 私自身、32歳のときに突然、社長に就任することになり、怒涛(どとう)の日々を過ごしました。会社の立て直しを図るためにリストラをはじめさまざまな経営改革をして、長く働いていた社員から反発もくらいました。当時はとにかく孤独感でいっぱいで、一人で泣いたこともあります。そんなときに出合ったのが、シェークスピアのこの一節です。