料理の負を解決したい

堀江 料理をする時間よりも、買い物をする時間のほうが「料理の負」を感じることが多いのではないかと思っています。たとえば、週に何回もスーパーに行くのも、暑い中では負担ですよね。それにコロナ禍にもかかわらず、スーパーは密な状態が続いていて、人数制限をしなければならない状況にもあった。

 一方、料理をすること自体は、いろいろなサービスが登場し、かなり手軽になっている。料理本を買わなくてもウエブサイトなどにたくさんのレシピが載っている。

 料理よりも買い物をサポートすることができないか、と数年前から思っていました。

 そこで、まずコロナ禍で集客が落ち込んだ飲食店を支援しようと、食品ECサイト「クラシルストア」を立ち上げ、飲食店からの掲載費と販売手数料を無料にする「飲食店応援企画」を実施しました。そこで多くのお客さんから支援をいただき、クラシルとECの相性がいいはずだと確信しました

日本の小売業は圧倒的にオンライン化されていない

―― このタイミングというのは、やはりコロナ禍でネットスーパーの需要が高まっていることも影響しているのでしょうか。

堀江 そうですね。おそらく2018年のタイミングでこれをやろうと持ちかけても、小売業者と手は組めなかった可能性が大きい。

 日本の小売業は海外に比べると圧倒的にオンライン化されていなくて、小売業者の皆さんも危機感は持っていたと思います。ただ、変わるきっかけがなかったんです。国内市場でネットスーパーがそれほどもうかっているわけでもないし、まだやらなくてもいいよねという感じで。市場のスピードも今と比べたらゆるやかでした。

 しかし、このコロナによって、消費者はオンラインにあっという間にシフトしました。自炊の需要が上がり、お客さんが店に来ている、今の状況はそう長くは続かないでしょう。オンラインに対応しないと、小売業のシェアを伸ばしていくことはできません。大手企業が動き始めている中で、中小の企業からやりたいけれどどうしたらいいか分からないという声をたくさん聞きました

 そこで、僕らと手を組んだらどうかと思ったんです。

新規事業について、「コロナ禍が僕らのタイミングと重なった」と話す堀江さん
新規事業について、「コロナ禍が僕らのタイミングと重なった」と話す堀江さん