この取り組みで業界が変わる

―― つまり、0からネットスーパーを立ち上げるのではなく、既存の中小の小売業者と組んでネットスーパーを始めるということなのですね。

堀江 資本力のある大手小売業なら単独でネットスーパーを始めることは可能ですが、中小の小売業はITへの投資や人材の立ち上げが難しいんです。立ち上げたいけれども何をしたらいいのか分からない。

 地方のある小売業は年間で50億円以上のシステム投資をしているという話も聞きました。おそらく、全国展開のスーパーはおそらく何百億、あるいは何千億もかけているでしょう。そこを僕らが「私たちがリスクを取ります。開発費無料で立ち上げやりますよ」って言ったら、中小の小売業さんも始めたくなるはずです。ものすごく業界が変わると思います。

 僕らはレシピというコンテンツを持っているだけでなく、どうシステムを組んで、お客さんに届ける仕組みを作るのか、一気に立ち上げるためのノウハウもある。料理サイトでは日本で一番使いやすいものを作ってきたという自負があります。その僕らと商品の仕入れに関して長年の知見がある小売業が組めば価値がでると思っています。

―― では具体的に大手小売業とはどんな差別化をするつもりでしょうか。

堀江 各スーパーさんが提供しているネットスーパーのサービスを見ていただくと分かると思うんですが、外出自粛制限のときに注文が殺到して、多くの人が使えない状態になりましたよね。抽選みたいな感じになり、早い者勝ちという状態だった。これが1番の問題です。それをいかにシステムを使って、僕らが解決できることをしていけるのかが勝負だと思っています。

「この新規事業でものすごく業界が変わる」と堀江さん
「この新規事業でものすごく業界が変わる」と堀江さん

 大手小売業との差別化の詳細や、この事業にかける思いは後編で。

取材・文/齋藤有美(日経doors編集部) 写真/鈴木愛子