新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外食を控え料理をする人が多くなった。料理動画配信サービス「クラシル」では4月の緊急事態宣言以降、アプリのダウンロード数が急増し、9月には2500万ダウンロードを突破するなど大きな影響があったという。現在、立ち上げからおよそ4年間で国内最大級の料理レシピサイトへ成長している。運営会社delyを大学在学中に立ち上げた堀江裕介社長は現在28歳。次なる目標はネットスーパー事業。新たな事業への思いを語ってもらった。

前編 クラシル堀江裕介社長 ネットスーパー事業にかける思い ←今回はここ
後編 クラシル 堀江社長 10~20年戦う覚悟はできている

利用者は増えたが売り上げは変わらない

日経doors編集部(以下、――) コロナ禍の影響で、外食を控え自炊する人が増えています。それに伴いクラシルの利用者も激増したようですね。

堀江裕介さん(以下、堀江) これまで30代後半~50代の女性がメインユーザーでしたが、コロナをきっかけに男性にも使ってもらえるようになった。クラシルの利用者はコロナの感染が本格的に報道され始めた3月以降増え続け、現在は2500万ダウンロードしてもらっています。ある程度世の中のインフラに近いところにまで来たと思っています。とはいえ、デジタル上のメディアだけだと、生活を変えるようなところまではいっていないというのが実感です。

 今の料理メディアの中で1位になることを目標にしていてはダメだなと思っています。より20~30年と伸び続けてけるようなより深い産業というものに僕らが入り込まないといけないと思ったんです。

delyの堀江裕介社長
delyの堀江裕介社長
dely(デリー)代表取締役 CEO、現在 28歳。2014年、慶応義塾大学在学中にdelyを設立、代表取締役に就任。2度の事業転換を経て2016年2月からレシピ動画サービス「kurashiru(クラシル)」を運営。2017年4月、Forbesによる「アジアを代表する30歳未満の30人」に、 メディア・マーケティング・広告部門で唯一の日本人として選出。2020年4月には女性向けメディア「TRILL」の運営会社であるTRILLを完全子会社化。6月にはアプリが2400万ダウンロードを超え、7月にはクラシルのレシピ動画本数が38000本を突破、同サービスを日本最大のレシピ動画サービスに成長させる

―― そこで考えたのがネットスーパー事業ということですね。