会社にしがみついた上で、いろいろトライ

―― 今の会社で、このまま働いていていいのだろうかと悩む人も増えています。そんな人たちは、どう自分のキャリアについて判断していけばよいと思いますか?

山口 副業という形でいろいろトライするのがよいと思います。これからなし崩し的に副業が一般化していくはず。これまで通勤という物理的な条件から副業ができない人もいましたが、今はスイッチひとつで瞬間的に仕事を切り替えられるので、自分の中に複数のポートフォリオを持てるようになります。20代、30代の方にぜひおすすめしたいのは、今もし安定的な給料がもらえる仕事に就いているのなら、その会社にしがみついた上で、自分が面白いと思えるような副業にいろいろトライすること。会社の外側での人脈や評判や仲間を、今の会社が沈没するまでの間にできるだけ作る、ということです。

 これはコンサルタント時代から言い続けているんですけど、キャリアは打率じゃなくて打席数です。打席に数多く立てば、そのうちヒットも出ます。それを繰り返して社外のコミュニティーで評判を得て仕事が増えたら、つまらない仕事を手放せばいい。今、大きな会社にいて迷っている人は、安定してキャッシュが入ってくる立場は手放すことには慎重になった方が良いと思います。外側で仕事をすることで、本業の良さが分かってくることもあります。今いる場所が、絶対にダメだと思うことはないです。

「いまの会社にできるだけしがみつき、副業でいろいろなことにチャレンジしてみるのがおすすめです」と山口さん
「いまの会社にできるだけしがみつき、副業でいろいろなことにチャレンジしてみるのがおすすめです」と山口さん

干場 たとえ現在の収入源としての仕事じゃなくても、自分の好きなことがあると、人生が豊かになりますよね。私の会社でITの仕事をしている人が、実は夫婦で、ニューヨークで作品を出展しているアーティストだったんです。コンサルタントをしながら、ミュージシャンとして作曲している知り合いもいます。最初は趣味でも仕事になることもあるし、それが本業にインスピレーションを与えることもありますからね。ビジネス系だけじゃなく、自分が好きなアート系や職人系の仕事に目を向けることが、好きなことをやり続けるという将来につながると思います。私も実は、占いの勉強を始めたんですよ。大学院に行き臨床心理士の資格をとって、占いという名のカウンセリングをするのはどうかなって(笑)。ついでにジャズボーカルも習い始めたので、75歳ぐらいになったら占いとジャズのある、ビジネス系文壇バー『弓』を開くとか!?(笑)。