新型コロナウイルスの影響により、挙式を中止・延期するカップルが増加し、大きな打撃を受けた結婚式業界。業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズは緊急事態宣言中に全店舗で結婚式の施行を中止することを決め、2021年3月期の連結最終損益が最大165憶円の赤字になると発表した。コロナ禍でリモート結婚式など新たな結婚式のカタチも模索される中、従来の結婚式はどう生き残っていくのか、岩瀬賢治社長に話を聞いた。

前編 結婚式業界1位のT&G 「有事のときこそ本性が出る」
後編 T&G 倒産寸前の過去がコロナ禍で生きている ←今回はここ

2015年、T&G創業者の野尻佳孝氏から社長を引き継いだ岩瀬賢治氏。
2015年、T&G創業者の野尻佳孝氏から社長を引き継いだ岩瀬賢治氏。

ベンチャーから業界最大手に

日経doors編集部(以下、――) T&Gが業界最大手の企業になるまでに、一度赤字に転落していますよね。

岩瀬賢治さん(以下、岩瀬) T&Gは1998年に現会長の野尻佳孝がベンチャー企業としてスタートさせました。とにかく働いて株主に約束した数字を作るということで、毎年成長させてきた会社です。2006年に東証1部に上場するまで、どうしても利益至上主義といいますか、お客さまに真摯に対峙していない営業になってしまったこともあります。そしてこのままではだめだと経営改革したのですが、最終的には2007年度に14憶円の経常赤字を計上してしまいました。