今年2月13日、福島沖を震源とするM7.3の地震が発生し、最大震度6強を観測しました。東日本大震災から間もなく10年という節目を前に、改めて災害の恐ろしさや防災対策の必要性を感じた人も多いでしょう。近年では地震だけでなく、異常気象や大雨による河川の氾濫、土砂災害などの被害も続いています。緊急時にはとっさの判断と素早い行動が必要となり、「日常の延長線上」で防災対策に取り組むことが大切です。そこで今回から全3回にわたり、20代・30代の働く女性が普段から備えておきたい防災対策を紹介。20年以上、国内外で被災地支援に携わってきた防災士・高橋聖子さんに、一人暮らしの女性が押さえておくべき基礎知識を聞きました。

【2021年働く女性の防災対策】
 災害から命を守る 一人暮らし女性の防災対策・水害編 ←今回はここ
中 女性視点の地震対策 日常の備えと生活の工夫・自宅編
下 自宅外での地震対策 避難先で過ごすときの注意点

都心の浸水リスク 2週間水が引かない可能性

 「都市部に住んでいると、『水害は関係ない』『大雨が降っても自宅は安全』と思っている人もいるかもしれません。でも、東京や大阪、名古屋などの都市部は平地で海が近く、海面より地面が低い『海抜ゼロメートル地帯』も少なくありません。例えば、東京都23区の湾岸部や東部の江東区、墨田区、葛飾区、江戸川区、足立区などは海抜が低く、それ以外の区でも台地と谷による起伏が大きなエリアがあります。都市部に住んでいても、水害のリスクと無縁ではありません」と高橋さんは注意を促します。

 2019年の台風19号ではタワーマンションが立ち並ぶ武蔵小杉(神奈川)のマンホールから雨水などが逆流して一帯が浸水し、大きなニュースになりました。近くに海がなくても、大雨や台風による水害の可能性はあります。

 「例えば、江戸川区の場合、場所によってはビルの3~4階の高さまで浸水する可能性があります。大きな水害では逃げ遅れて命を落とす人もいますが、家が浸水するだけでも大きな被害を受けます。浸水後は2週間以上も水が引かないことがあり、日常生活に大きな支障が出るのです」と高橋さん。

 浸水して電力、ガス、上下水道といったライフラインが止まると、トイレやエアコンが使えなくなったり、冷蔵庫が使えず食材が腐ってしまったり。洗濯をすることもできなくなります。周囲が浸水していると、移動ができず家の中に取り残される可能性も。緊急時には素早い判断と行動が求められるので、自分の命だけでなく生活を守るためにも、情報収集や日ごろの準備や心構えが重要です。

コロナ禍の不安に加えて、近年自然災害の規模も大きくなっている。もしもに備えた対策をいかに日常生活のルーティンに組み込むかが大事 (C)江戸川みんなの防災プロジェクト イラスト:エムラヤスコ
コロナ禍の不安に加えて、近年自然災害の規模も大きくなっている。もしもに備えた対策をいかに日常生活のルーティンに組み込むかが大事 (C)江戸川みんなの防災プロジェクト イラスト:エムラヤスコ