日本のジェンダーギャップ指数の結果に毎年落胆し、日常で目の前に感じている小さな男女格差にも気持ちが沈みがちになる一方で、「女性であること」をポジティブに表現したり、新しい事業につなげたりしながら、積極的で新しい価値観をつくり出している人やプロジェクト、プロダクトは、どんどん増えている。「私たちは、女性であることに、もっとポジティブになっていい」――そんな思いで立ち上げた連載「ポジティブフェム」。第2回では、2020年8月にテレビ東京で放送された「生理CAMP2020」の仕掛け人でテレビ東京プロデューサーの工藤里紗さんに話を聞いた。

前編 工藤里紗 「生理CAMP」仕掛け人 「しんどい」って言っていい
後編 工藤里紗 誰かの「生きづらさ」を理解し合える社会に ←今回はここ

2020年8月に放送された特番「生理CAMP2020」を企画したテレビ東京・プロデューサーの工藤里紗さん。生理をテーマにした新しい視点の同番組は、性別、年代を問わず多くの反響を集めた。「今後も番組作りを通じて、生理について考え、理解を深めるきっかけをつくりたい」と話す背景には、自身も生理に苦しめられた過去があった。

初潮で突き付けられた自分の「性」

 工藤さんは、8歳のときに初潮を迎えた。当時の平均初潮年齢よりもかなり早く、同級生の間でも生理が来たのは自分だけ。プールの授業は見学するなど、皆とは違う行動をしなければならないときが増え、「自分は変わってしまった」と悩むようになった。

 「私にとって、初潮はショックでした。当時は、男の子みたいになりたくて女子が好きといった感覚があり、まだ自分の中で、『性』が固まっていない時期でもありました。そもそも性についてもんもんとしているのに、体だけ人より先に女性になってしまい、心身はアンバランスな状態に……。生理によって、こんなにも自分は変わっていくんだと悩んだり、不安になったりしていたのに、誰にも話せなくて孤独を感じるようになりました。それ以来、生理とどうやって向き合い、付き合っていくかが人生のテーマの1つになったんです」

 その後もずっと生理痛やPMS(月経前症候群)に悩まされ、社会人になると、症状を我慢しながら働くことが増えていった。工藤さんの場合は、PMSの症状が重く、特に生理前のイライラや気分の落ち込み、頭痛に苦しんだ。