日本のジェンダーギャップ指数の結果に毎年落胆し、日常で目の前に感じている小さな男女格差にも気持ちが沈みがちになる一方で、「女性であること」をポジティブに表現したり、新しい事業につなげたりしながら、積極的で新しい価値観をつくり出している人やプロジェクト、プロダクトは、どんどん増えている。「私たちは、女性であることに、もっとポジティブになっていい」――そんな思いで立ち上げた連載「ポジティブフェム」。第4回は、日本国内のフェムテック先進企業として注目を集めるfermata(フェルマータ)の共同創業者で現CCOの中村寛子さんに話を聞いた。

前編 fermata中村寛子 フェムテック先駆けとして注目
後編 fermata中村寛子 フェムテック流行語にしたくない ←今回はここ

日本におけるフェムテック産業の課題

 2019年より、フェムテックを中心に事業展開を開始したfermata(フェルマータ)。共同創業者で現CCOの中村寛子さんは、「実際に事業を進めてみると、想像以上に市場にはさまざまな課題がありました」と話す。

 「新しい価値観を内包する商品も多いので、まだ薬事承認を受けていないものなどは広告表現の制限も多い。誤解を招かないよう表現に細かい注意を払いながらも、どうすれば製品のメリットを的確に伝えられるかを考えています。もう一つ、フェムテックは新産業で小ロットでの生産となるため、どうしても価格が高めになってしまいます。しかし、どちらの課題も市場が拡大し、道が整備されれば解決していくと思います」

 中村さんはfermataを通じて、日本にもフェムテックの波を作れたと感じていると言う。

 「私は2020年が日本におけるフェムテック元年だったと思っています。さまざまな企業から問い合わせをいただき、産業として推進できた、流れを作れたと自負しています。創業1年でECショップと実店舗のオープンまでかなえられましたし、今後も可能性は広がっていくと思います」

 最近では、さまざまな媒体でフェムテック特集が組まれ、社会的にも注目を集めるようになった。

 この流れの中で、中村さんは、「『フェムテック』というワードを流行語にしたくない。一時的なパワーワードでなく、持続的な産業として発展させたいんです」と話す。

「少し前まで、『フェムテック』という言葉だけが独り歩きしている印象でした。現在はユーザーや社会に浸透してきていると感じます」
「少し前まで、『フェムテック』という言葉だけが独り歩きしている印象でした。現在はユーザーや社会に浸透してきていると感じます」