「メール不要」が選べるように

  1. 日経xwomanトップ
  2. doors
  3. 臨床心理士 みたらし加奈 誰もが生きやすい未来
  4. みたらし加奈 心の居場所をSNS発信に求めた私の原点
  5. 3ページ目
臨床心理士 みたらし加奈 誰もが生きやすい未来

みたらし加奈 心の居場所をSNS発信に求めた私の原点

コンプレックス、自傷行為 自分を大切にできなかった過去からの学び

 そうしたSOS発信に対してすぐに反応してくれたのは、遠くにいる匿名性の高い人たち。助けを求めて発信したはずが、「文章を読んで引き込まれた」「共感した」と言ってもらえることでお互いに強い連帯感が生まれたことは原体験として強く印象に残っています。

 ネット上に弱さをさらけ出すことは、普通ならできにくいことかもしれません。でも、情報の受け取り手を信頼して発信することで、前向きな共感や理解が生まれるという私のスタンスは、この時の経験が大きいと思います。

自傷行為をやめた転機

 自傷行為をやめた大きなきっかけは、美樹との出会い。美樹は、私にとって初めての同性の恋人です。美樹と付き合い始めてしばらくたったある日、けんかをした後に自分の足をカッターで深く切りつけたことがありました。後日、私の足の傷痕に気づいた美樹は、「痛いよね、痛いよね」と言って手当をしながら、目に涙を流してこう言ったんです。

 「加奈ちゃんは自分に刃を向けているように見せて、人に刃を向けているんだよ」

 この言葉に大きな衝撃を受け、それ以来、衝動に駆られた時は美樹の顔が思い浮かぶようになり、少しずつ自傷行為をしなくなっていきました。

「この体は自分だけのものじゃない。私は美樹に丸ごと愛されている」という気づきが、自傷行為をやめるきっかけとなった
「この体は自分だけのものじゃない。私は美樹に丸ごと愛されている」という気づきが、自傷行為をやめるきっかけとなった

 今振り返ると、美樹と出会う前の私は、「こうあるべき」というさまざまな偏見で自分を縛っていました。古いジェンダーロールにとらわれて明るい未来を描けずにいましたし、周りの大人たちから「理想」を押し付けられていると感じる一方で、私も理想の家族像や大人像を周りに押し付けていたんです。過去の経験から、「いい自分もそうではない自分も丸ごと肯定する」「自分の価値観やステレオタイプを人に押し付けない」ことを大切にしています。

会員登録で記事クリップやキーワードのフォロー、
My doorsの設定が可能になります