日常の中にあり、無関心にはなれない

 政治とは選挙のときだけに接点があるような感覚があるかもしれませんが、少し意識してみると毎日の生活の中に入り込んでいる身近なものだと分かります。

 例えば、税金の使い道や税率は政治によって決められていますし、生活に欠かせない水道の料金は各地方自治体が決めています。身近にある輸入品の関税や輸入許可も政治が関わっていますし、同性カップルである私の場合は、日本で法的に「結婚」できるかどうかも政治の判断に委ねられています。

 最近ではコロナ禍での行動制限や緊急事態宣言など、私たちの日常のあらゆるところで政治は関係している。そのことに一度気づいてしまうと、政治に無関心でいることのほうが難しいと思うようになりました。

 そうはいっても、社会のあらゆることに関心を持ちながら、政治について考えるのはハードルが高い。そこで私は、投票に行くことを大前提として、「自分が当事者意識を持つことができそうな話題や問題から、積極的に関心を持つ」ようにしています。

 スモールステップとして私が普段から取り組んでいるのは、自分がいいなと共感することや、必要だと感じることに関するWeb記事やSNS上の発信に「いいね」ボタンを押したり、シェアをしたりすること。ボタンを押すという1つの行動からもしかしたら1000件以上の「いいね」につながって、その記事が話題となることで変化が生まれるかもしれません。自分が当事者ではなくても、今、課題を感じていることに対して興味を持つ人が増えることで法律が変わる、政治の動きが変わる可能性があります。

 もしもあなたが「政治ってなんか重々しくて嫌だな」と思っているのであれば、投票に行くことを、ちょっと楽しいイベントとして捉えてみるのもいいと思います。前回の選挙で私も実際に試してみたのですが、特別なお出かけの日のように、めいっぱいおしゃれを楽しんで投票に出かけるんです。

 最近では投票に行くことで、お店の割引サービスが受けられる「#選挙割」という動きも出てきています。1票に重みを持たせることも大切ですが、同時に「ポジティブな雰囲気で、投票に行く」というムーブメントを起こせたら、日本の投票率ももっと上がっていくのではないかと期待しています。

「『選挙に行く=当たり前のこと』という押し付けが負担になる人もいる。日常の楽しいお出かけの中に投票行動を織りまぜる、という感覚をシェアできたら、投票率ももっと上がっていくかもしれない」
「『選挙に行く=当たり前のこと』という押し付けが負担になる人もいる。日常の楽しいお出かけの中に投票行動を織りまぜる、という感覚をシェアできたら、投票率ももっと上がっていくかもしれない」