学習性無力感に負けないためにできること

 投票率が50%前後という投票率の低さが定着している日本ですが、私の専門領域である心理学的な視点から原因を探ると、1つは「学習性無力感」によるものではないかと感じています。

 学習性無力感とは、長期にわたってストレスを回避できない状況にさらされることで、無力であることを何度も学習してしまい、その状況から逃げようとしたり、回避しようとする力がなくなってしまうということをいいます。つまり、無力であるという思いから目をそらすために、現実に対して無気力になってしまう。

 日本で「政治的な話題はタブー」という風潮があることも大きいと思います。2018年に私がハワイに留学した時、韓国にルーツのある友人から「韓国では友達同士でも政治の話をする」という話を聞きました。もちろんこの話が韓国の実情を表すものではないかもしれませんが、その友人から「意見が食い違うこともあるし、言い合いになることもあるけれど、それはそれだし、喧嘩をしても友達だから仲直りするよ」と聞いたことで、日本よりも韓国のほうが政治を身近に捉えているのかもしれないと感じました。

 「違いはあっても分かりあえる」といった感覚も含めて、北欧など投票率が高い諸外国では、人々の生活の中の声が政治に反映されてきたという成功体験の積み重ねを経験しているということも挙げられます。目に見える大きな変化をすぐに起こすことは難しくても、自分ができる一歩としてまず小さな成功体験に目を向ける工夫をしていきたいですね。