メンタルケアが必要な人により広くアプローチできる手法の1つとして、SNSを活用した情報発信に力を入れる臨床心理士のみたらし加奈さん。今回、みたらしさんが同世代と一緒に考えたいテーマは、「政治」との関わりについて。この秋行われる見通しの総選挙を控え、ポジティブに関われる政治参加や社会を変える可能性を持つ投票への思いを語ります。

 コロナ禍などで国や自治体がさまざまな政策を行うのを目の当たりにしながら、「政治=自分の暮らしに直結したもの」とリアルに感じるようになった人は多いのではないでしょうか。

 私たちができる政治参加というと、やはり「投票」が頭に浮かんでくると思います。毎回選挙があるたびに投票率の話が取り上げられますが、投票への関心が低い人は「自分の1票にそれほど大きなインパクトはないだろう」「誰に任せてもどうせ変わらない」といった無力感を抱えているのかもしれません。

「子どもの頃から身近で政治に関する会話があり、自然と関心を持つようになりました。そんな私もまだ分からないことはいっぱいです」。「分からないことがある」「考えには違いがある」という前提で、政治を日常に落とし込んだ会話を友人やパートナーともよくしているというみたらしさん
「子どもの頃から身近で政治に関する会話があり、自然と関心を持つようになりました。そんな私もまだ分からないことはいっぱいです」。「分からないことがある」「考えには違いがある」という前提で、政治を日常に落とし込んだ会話を友人やパートナーともよくしているというみたらしさん

 でも、例えばこの夏に行われた東京都議選の目黒選挙区ではわずか「6票差」で当選が決まっています。そう考えると、1票ってやっぱり大きい。「権利」として持っている投票で、リアルに当選・落選を決める1票になり得るので、何となく棄権してしまっている人がいる状態はもったいないことだと私は思います。

 選挙ではなくても社会が変わってきている兆しを感じたのが、有志のメンバーの呼びかけによってネットを中心に抗議の声が広がり、約15万人の署名が集まった森喜朗氏の女性蔑視発言の事例。私も賛同人として参加しましたが、多くの人たちの声をきっかけに世論と政治が動きました。

 大きな変化は確かに見えにくいけれど、一人ひとりが「私はこう思う」と意思表示をしていくことで、社会は確実に変わってきています。