多彩なアプローチでメンタルケアの必要性を広く発信する臨床心理士のみたらし加奈さん。最終回となる今回のテーマは、自分はもちろん、相手を大切にする意識にもつながる「性教育」。社会に根強く残るルッキズムとの向き合い方についても考えます。

20代・30代に伝えたい「性教育」の大切さ

 皆さんは、学生時代に受けた性教育がどのような内容だったか覚えていますか? 世界に比べて「遅れている」といわれる日本の性教育。多くの日本の小中学校の授業では、性交(性行為)、避妊、性被害対策については詳しく教えてもらえません。

 ここでいう「性教育」は、単に体の発達に関する生物学的な知識にとどまらず、多様なセクシュアリティやジェンダー平等、パートナーシップ、性被害といった広い範囲を含みます。

 特に性に対する認識において課題を感じるのが、「同意のない性交(不同意性交)」。日本では、少し前に性交同意年齢の引き上げ検討のニュースが話題になりました。

 私は、弁護士や臨床心理士などの専門家たちと共に、性被害に関する情報を発信するNPO法人「mimosas(ミモザ)」の代表副理事も務めています。mimosasの活動の中でも多くのメッセージをいただくのですが、関係性を問わず、「相手の同意がなければ性暴力になる」ということが、社会にまだまだ浸透していないことを痛感します。

 たとえ付き合っている相手やパートナーであったとしても、性的同意は必要です。また嫌なときに、NOを伝えやすい関係性作りも大切です。自分の体と相手の体には明確な境界線があります。その上で、コミュニケーションを取るという意識がまず大切だと思います。

「パートナーシップ、友人、親子などあらゆる関係性において、踏み越えてはいけない境界線はあります」
「パートナーシップ、友人、親子などあらゆる関係性において、踏み越えてはいけない境界線はあります」