心のどこかで「結婚や出産によって自分の人生が好転する」と思っていた

 「私、結婚や出産に期待しすぎていたのかも」

 そう気づいたのは、ライターの友人が書いた、「子どもを持つメリットってありますか?」という読者からの質問に回答した記事を読んだときだった。

 この記事には、「メリット」という言葉が吹き飛んでしまうほどの幸福が描かれていて、きっと子どもがいる人は、読んでみると「そうだよね」とうなずくだろうと想像できた。私の母や、すでに子どもを持つ私の妹は、この記事で描かれている子育ての情景に共感するだろうと思う。実際に、友人の記事を読んだ人の反応も、幸せにあふれたものだった。

 ただ、共感の原資になるような思い出や経験が乏しい私は、共感する前に、自分が持っている「過度な期待」に気づいてびっくりしてしまった。

 心のどこかで、私は「結婚や出産によって自分の人生が好転する」と思っていたのだ。

「誕生日を迎え、30歳になりました。毎年、誕生日には大好きなヒマワリを飾ります」
「誕生日を迎え、30歳になりました。毎年、誕生日には大好きなヒマワリを飾ります」