企業広告のパワーを借りて、アンステレオタイプを仕掛けたい

羽生 UN Womenではユニリーバなどグローバル企業と連携して、広告におけるジェンダーに基づくステレオタイプを無くすための共同イニシアチブ「アンステレオタイプ・アライアンス」を発表していますね。

石川 企業広告は、視聴者を少しでもひき付けるために、人間の心理をつかむ秘訣を詰め込んで制作されているものです。そのパワーをもってすれば、ステレオタイプの気付きのきっかけにもなると思っています。

 でも、このアライアンスは、加入することで炎上広告を作らない方法を学べるというのではありません。広告というメディアを活用すれば、あなたの会社も社会を変えることができるのだということを伝えるための取り組みです。

羽生 ジェンダーのアンステレオタイプのきっかけになるようなお薦めの企業CMを教えてください。

石川 たくさんありますが、日産サウジアラビアのCMは見ていてつい涙がこぼれてしまう素晴らしさです! サウジアラビアでは2017年まで女性が車を運転することが許されていませんでした。初めて車を運転する女性たちとその家族を描いた映像です。

羽生 聞いただけで涙が出そうになってしまいました。さて、国連というグローバルな職場で働いている石川さんから見て、日本はどんな社会に見えますか?

石川 日本は他人の目、他人の意見を気にするがあまり、空気を読んだり、忖度(そんたく)したりして、少数派が意見を言いにくい社会だと思います。多数派とは異なる意見を言う人が萎縮しないように、もっとみんなが自由にものを言える寛容な社会になればいいのに、と心から思います。

 私がこれまで働いてきた国々には、「Agree to Disagree」の精神がありました。私たちの意見は合わないから、まあ別々に行きますかという、「違って当然」というスタンスです。

出張で訪れたモンゴルのゴビ砂漠にて
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