子どもや若者の自己肯定感が低いことの責任は、大人にある

羽生 なるほど。日本社会の特徴としては、子どもや若者の自己肯定感の低さが挙げられると思います。平成26年版「子ども・若者白書」(内閣府)によると、13~29歳の自己肯定感を国際比較したところ、日本の若者の自己肯定感が非常に低いという結果が出ています。またさまざまな調査により、男児よりも女児のほうが自己肯定感が低いことも指摘されています。

石川 子どもや若者の自己肯定感が低いことは、大人に大きな責任があると思います。特に男女差があるという点については、家庭から受ける影響が大きいと感じます。例えば、常に母親が料理をして、父親が料理をしない家庭で育った女の子は、無意識のうちに、自分は将来料理をする役だと感じてしまいやすいでしょう。親が意識的に家庭内のジェンダー平等を推進する必要があると思います。

羽生 UN Women日本事務所長に就任されてから、「これを成し遂げたい」という目標はあったのでしょうか。

石川 目標といいますか、ジェンダーの視点から見て、日本で違和感を感じることがよくあり、「あれが変わったらいいな」という思いがありました。その一つが、証券取引所の大発会(証券取引所の年始の最初の取引日に行われる催事)で、女性社員が振り袖でずらっと並ぶ光景。あの光景を見て、いつも「何か変だよね」と違和感を抱いていました。なぜ女性だけが振り袖姿で並ばないといけないのか。男性も一緒に並べばいいじゃないか、と。

 今から2年前に、たまたま証券取引所の方と仕事の打ち合わせがあったので、そのときに男性も参加すればいいのではと提案してみたところ、驚かれたようで、「大発会の女性の振り袖姿には長い歴史がありまして、……」と説明が始まり、要は、変えるのは難しいということでした。しかし、なんと今年の1月、テレビで放映された大発会では、たった二人でしたが羽織はかま姿の男性が加わっていたんです。私の発言が寄与しているかどうかは全く分かりませんが、とてもうれしい目に見えた変化でした。

羽生 確かにジェンダーギャップ問題では、それまでの「当然」「普通」を打ち壊す場面が出てきますよね。これからもぜひ一緒に従来の「当然」や「普通」を打ち壊していきましょう!

石川雅恵(いしかわ・かえ)
石川雅恵(いしかわ・かえ) UN Women日本事務所 所長・関西学院大学社会学部卒。オレゴン大学国際学部学士。神戸大学大学院国際協力研究科法学修士。同大学院博士課程在籍中に外務省専門調査員試験に合格し、1998年より日本政府国連代表部専門調査員。国連児童基金本部コンサルタント、国連人口基金広報渉外局資金調達部を経て現職。

構成/日経xwoman副編集長 小田舞子

【「日経WEPコンソーシアム」サイトを開設しました】
日本経済新聞社・日経BPは、2020年春に「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト(WEP)」を始動させました。ジェンダー平等は日本の組織の成長に不可欠との信念を持ち、実践しているキーパーソンにインタビューしていきます。さらに、大型イベントの開催、勉強会&ネットワーキング、国連機関のUN WOMENとの連携など、当コンソーシアムで発信していきます。ぜひこちらのサイトをご覧ください。