ジェンダー平等は日本の組織の成長に不可欠であり、多様性のあるチームはイノベーションを起こしやすい。日経ウーマンエンパワーメントコンソーシアムでは、そのような信念で実践しているキーパーソンにインタビューしていく。今回ご紹介するのは、2019年5月1日に日本での活動を開始した「30%クラブ・ジャパン」の只松美智子さん。企業の取締役会メンバーなど役員に占める女性の割合を30%に上げるという目標を掲げ、資生堂CEOの魚谷雅彦さんなど55人(2020年5月14日現在)の企業トップが集まり、活動しています。創設者である只松さんに、創設に至った経緯、創設に込めた思い、メンバーになるための「4つの条件」と活動を推進する際のポイントとなる、よい意味での「ピアプレッシャー」について伺った。

「今は追い風が吹いている、チャレンジさせてほしい」

デロイトトーマツコンサルティングのジェンダー・ストラテジー・リーダーであり、「30%クラブ・ジャパン」創設者である、只松美智子さん
デロイトトーマツコンサルティングのジェンダー・ストラテジー・リーダーであり、「30%クラブ・ジャパン」創設者である、只松美智子さん

日経xwoman総編集長 羽生祥子(以下、――) 只松さんは、デロイトトーマツコンサルティングのジェンダー・ストラテジー・リーダーとして、これまでも社会課題、特にジェンダーに関わるさまざまな課題解決に向けたコンサルティングサービスを手掛けてきました。

 その一方で、取締役会を含む企業の重要意思決定機関に占める女性割合の向上を目的とした世界的キャンペーンである、「30%(サーティーパーセント)クラブ・ジャパン」の創設者でもあります。只松さんはどのような経緯で日本の創設者になったのでしょうか?

只松美智子さん(以下、只松) 私はもともと金融業界のコンサルタントで、2016年に社内でダイバーシティについてのオフィスを立ち上げることになった際、立候補して立ち上げメンバーのリーダーになりました。

 2018年当時、当社の30%クラブのグローバルボード議長であり、30%クラブの創設メンバーの一人でもあったデイヴィッド・クルックシャンクがグループの取締役会に出席するために来日したとき、たまたま私も同席し、彼の発言で30%クラブの活動内容を知りました。活動の主な内容は、社会の重要なステークホルダーを巻き込みながら、企業の女性役員の割合を30%まで引き上げるというもので、「これはすごい」と思ったのです。これまで日本にあった他の女性活躍推進施策とは一線を画す、社会全体に変革を起こす画期的な取り組みであることを確信しました。

 自分で調査を続けたのち、その翌週にイギリスの本部につないでいただき、ぜひ日本でも30%クラブの活動を展開したいと伝えました。

―― すごい行動力ですね。その後は、スムーズに立ち上がったのでしょうか?

只松 初めに30%クラブの本部と話した際には意外にも、「難しいのではないか」というネガティブな反応でした。その理由として、4~5年前にもこの活動を日本でローンチしようという動きがあったものの、結局失敗したという経緯があったというのです。

 しかし私は、当時(2018年)は4~5年前と状況は大きく変わっていると思っていました。企業活動にも、国連のSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・企業統治)が意識されるようになり、コーポレートガバナンスの改革も進んでいる今であれば追い風が吹いているので、ぜひやらせてほしいと説得し、協力を得ることができました

 それからは、本部からも強力なサポートをいただくとともに、当社グループのダイバーシティ&インクルージョンの外部アドバイザーである、昭和女子大学理事長の坂東眞理子先生や、当時、カタリスト・ジャパン(米NPOが創設した日本の拠点)でバイス・プレジデントをされていた塚原月子さんにもご協力いただきながら、進めることができました。