「女性管理職が育っていない」

藤川 女性活躍推進の鍵は言うまでもなく「女性管理職をいかに育てるか」です。と言いますのも、女性活用が進んでいない理由として、「女性管理職が育っていない」が一番でした。「旧態依然とした習慣や企業風土」、「モデルとなる女性社員がいない」という回答も上位に。今後は、女性の管理職が活躍できる環境を整えるのはもちろん、管理職候補者をいかに育てるか、昇進したくない女性たちのやる気をどう引き出すか、が課題として見えてきました。調査の中でも「管理職登用度」は、この調査で一番問われるところ。役員クラスの女性管理職を増やすことで、ランキングの順位も伸びると思います。

「女性活用」が進まない理由として、「女性管理職が育っていない」「旧態依然とした習慣や企業風土」などが上位に挙がった
「女性活用」が進まない理由として、「女性管理職が育っていない」「旧態依然とした習慣や企業風土」などが上位に挙がった

高柳 今はSDGsの時代。「女性の管理職を増やさないといけない、女性が活躍できる機会を増やさないといけない」と、ほとんどの経営者が分かっている。それにもかかわらず、満足のいく数字が出ていないことが分かりましたね。

 では、この調査の上位企業はどうなっているか、ランキングを見てみましょう。

■2020年版「女性が活躍する会社ベスト100」
■2020年版「女性が活躍する会社ベスト100」
2020年版「女性が活躍する会社ベスト100」総合ランキングのトップ10。上位に外資系企業が目立つ

高柳 総合ランキングを見て、羽生さんはどう思いましたか?

羽生 今年の特徴は1位、2位、4位と外資系企業がランクインしている。管理職登用度の部門別ランキングを見ても外資系企業は意思を持って女性の管理職を増やそうとしているのが分かります。日本企業は、目標を掲げて一斉に施策を推し進めるのは得意ですし、そこは評価できますが、もう少し頑張りたいなと。日本全体では、女性活躍が進んでいるところと進んでいないところとで二極化していますね。

「上位に外資系企業が多くランクイン。役員クラスに女性を意識的に登用してリードした」(日経xwoman総編集長・羽生祥子)
「上位に外資系企業が多くランクイン。役員クラスに女性を意識的に登用してリードした」(日経xwoman総編集長・羽生祥子)

高柳 グローバルの視点で見るとどうですか?

羽生 グローバルの女性活躍はさらに進んでいます。日本の企業は、どちらかというと「子育て中の社員を辞めにくくする環境づくり」や「会社全体で残業時間を減らす」など、底上げを重視した施策が多い。例えば、リーダー手前クラスの女性たちと面談したり、研修をしたり。一方、グローバル企業は部長以上クラスの女性たちを、いかに意思決定層(役員クラス)に引き上げるかに注力しているのが近年のトレンド。日本企業より2歩も3歩も進んでいて、ステージが違うと感じます。

藤川 日本全体の課題は、管理職になりたいという女性が少ないこと。管理職を打診したとき、男性は6割くらいしか自信がなくても、「やります」と言うけれど、女性は9割くらい自信がないと「やります」と言いません。身近にロールモデルがいない、小さい子どもがいる、そもそも管理職に憧れないなど、課題も蓄積していますが、それらの壁を突破するための研修やロールモデル形成など、女性をやる気にさせる環境づくりが大事だと思います。

「課題は、管理職になりたいという女性が少ないこと。女性をやる気にさせる環境づくりが大事」(日経WOMAN編集長・藤川明日香)
「課題は、管理職になりたいという女性が少ないこと。女性をやる気にさせる環境づくりが大事」(日経WOMAN編集長・藤川明日香)

高柳 そうですね。このランキング上位に入っているのは優秀な企業ですが、女性活躍推進がなかなかうまくいかず、苦労している企業も多くあります。そこで、1位に輝いた日本IBMはどういう取り組みをしているのかを、代表取締役社長の山口さんに聞いていきます。

次回のリポートに続きます。

構成/岩井愛佳(日経WOMAN編集部) 写真/鈴木愛子

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