国民の富を考えたら、女性がいないと損をする

―― 日本の法律に関して、変えていきたいことはありますか。

野田 まず自分が立法府の一員として関わってきたことは「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」の成立です(2018年5月)。有権者教育の中で、女性も半分いるという国是みたいなものを作りました。日本は法律上、「女性がいなくてもいい」みたいな国だったんですよ。でも、政治に女性もいないとダメだという旗を掲げる、とてもシンボリックな法律を作りました。自民党の大反対の中、ようやく。クオータ制にいく前のコンセンサスづくりです。

 科学的、客観的に国民の富を考えたら、女性がいないと損をすることは明らかです。女性ターゲットのマーケットで、伸びている企業は多いですよね。私は「男女平等」というスローガンで言っているわけではなくて、男女平等は誰にでもメリットがあると言っているのです。国の社会保障も、女性政策を通じて子どもが多く生まれれば、負荷も軽くなりますし、将来的に富や労働力が担保できるという単純な話です。

 しかし、つい数年前まで有識者たちは「未来永劫(えいごう)人口は増える」と勘違いしていて、「少子化の原因は女が働くからだ」なんて言っていましたよ。不妊治療の話も「(赤ちゃんは)コウノトリが運んでくる」と言っている国会議員さえいましたから。

「『男女平等』って、スローガンで言っているわけではなくて、<b>男女平等は誰にでもメリットがある</b>んです」
「『男女平等』って、スローガンで言っているわけではなくて、男女平等は誰にでもメリットがあるんです」

男性と女性の懸け橋になろうと思っています

―― 自民党の幹事長代行に就任されました。どんな役割を担っていきたいですか?

野田 これから私は、男性と女性の懸け橋になろうと思っています。私は子どもを産んだから、母親の気持ちも分かる。でも、ひとさまのDNAの子どもだから、産めない人の気持ちも分かる。わが家では一家の大黒柱で、男性の気持ちも分かるつもりです。

 実は今回の幹事長代行の話が来たとき、夫からは「もっと家にいて、息子との時間をつくってほしい」と言われました。だから、家で「疲れた」と言うと「辞めれば」って、すぐ夫に言われますね。でも、それを乗り越える魔法を会得したんですよ。家に入る前に玄関で「ああ、疲れた」って一度大きな声を吐き出してから、扉を開ける。家に入ったら「疲れた」と言わない。これだけで家庭内の空気がずいぶん違います。

 それにコロナ禍でステイホームになって、私も家でやれる仕事はテレワークをすることに決めました。通勤時間が無駄だし、集中力も上がって仕事がはかどります。実は私、子どもが生まれてからのほうが仕事の効率がいいんです。法律を作った数も独身時代より多い。出産などを経て労働環境が変わっても、「私はこのほうが仕事できる」と言える強さを持ってほしいです。

法律を作って企業のクオータ制導入を後押し

―― 社会のあらゆる分野で、2020年までに指導的位置に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標「202030」を、政府は達成できずじまいで断念しました。これについて政府の責任は?

野田 企業こそ法律を作ってあげたほうが、経営者はやりやすいと思います。上場企業はサラリーマン社長だから、自分の意思ではいかんともしがたいところがある。リストラと一緒ですよ。業績回復が必要だったとある企業の社長に「なぜ、あなたはリストラしないのか」と尋ねたら、「自分は社内を知り過ぎていて、血も涙もあるから、株主や会社の利益のために従業員を切れない。客観的に判断できるのは部外者だけ」と言っていました。これと似ています。

 だから法律を作って、企業にクオータ制を導入してもらえばいい。男性経営者に「国の命令だから、女性を入れなきゃいけないんだ」という大義名分を与えて実行してもらうわけです。ドイツの場合は、政治にクオータ制を導入せず、企業で導入したことで経済が好転しました。

 また法律を作るなら、女性は平均賃金を男性の7割しか得ていないのだから、そのぶん補充してあげたら喜ばれる。こういうのは、いい税金の使い道だと思います。政治の世界は時間がかかるので、まずは租税特別措置のような形で、民間企業への応援をしていきたいですね。