現在、時事 YouTuberとして活動するたかまつななさん。2020年7月末にNHKを退職しましたが、それまでにとても悩み、葛藤したのだそう。今回は、そんなたかまつさんが「会社を辞めるか迷った時に考える視点」を伝授。今転職を考えている人の参考になるはずです。

葛藤したけれど「辞めて良かった」

 2020年7月末、私は勤めていたNHKを退職した。大学院卒業後、新卒で入社して2年4カ月。辞めるか、このまま続けるか――、かなりの葛藤があった。

 今、辞めてから6カ月がたつ。時事 YouTuberとして活動し、「辞めて良かった」と心から思っている。ただ、もう少し前に辞めていたら、きっと後悔していた気がするのだ。

 辞めるにあたって、かなり多くの人に相談し、金言をもらった。読者の皆さんにも参考にしていただきたいと思い、会社を辞めるか迷った時に考える視点をまとめたい。

自分の幸せを知る

 まず、「会社を辞める」のか「転職する」のかを悩んだとき、一番大事な視点は「自分をよく知ること」だと思う。

 自分はどんなときに幸せを感じるのか。例えば、仕事よりプライベートの比重が高い人にとっては、本当に転職が必要かは微妙なところだと思う。やりがいよりお金の比重が高い人にとっては、お金の方が大事なのにやりがいを求めてしまうと、「転職に失敗した」と感じることがあるかもしれない。

 人の転職や就職の相談にのっていると、「自分の中で何を大切にしているか」の判断軸を持っていないがために流されてしまい、結果的に会社と合わずに困っている人が多い印象だ。

 私が幸せを感じるとき。それは、社会問題を解決するための発信が多くの人に伝わり、見た人の価値観を変えたり、社会が動いたりする瞬間だ。

 だとすると、NHKという場は多くの人に伝えるにはとてもふさわしい場だった。私が担当していた番組「NHKニュース おはよう日本」は、毎朝約1000万人に届けることができた。

 しかし、大組織の中では、思うように企画を通せなかったこともある。結果として、社会を解決するような報道は、あまりできなかった。仕事を流れ作業に感じてしまうこともあり、幸せだとは思えなかった。

 むしろ、届けるニュース項目に疑問を抱いたり、社会を変えるとは真逆の報道だと疑問を抱いたり。こんな風に思ってしまう私が番組制作に携わっているのは申し訳ないとさえ思うときもあった。

 私の趣味は仕事だ。もう1つ、外せないものは「おいしいものを食べること」。週に何日かおいしいものを食べ、2カ月に1回は美容院にも行きたい。そこから、「いくらあれば、自分が幸せでいられるか」を逆算してみた。すると、副業だけでも、なんなら貯金だけでもしばらくやっていけると分かったのだ。