「私は明日殺されるかもしれない」――。そう涙ながらに、モデルのマリエさんが訴えた。「芸能界には、まだセクハラが横行している」と、時事YouTuberのたかまつななさんは言う。今回は、「性被害を受けてしまったときのために知っておいてほしいこと」をお伝えします。

セクハラは他人事ではない

 「私は明日殺されるかもしれない」――。そう涙ながらに、モデルのマリエさんが訴えた。18歳のときに、芸能界の大御所だった元タレントの島田紳助さんから性的行為を強要されたとインスタグラムの生配信で話したのだ。紳助さんの後輩お笑い芸人の出川哲朗さんと、やるせなすさんも同席していて、性的行為を同調するように促したのだとマリエさんは言う。

 しかし、出川さんと、やるせなすさん両事務所共に、「事実はなかった」とコメントを発表した。ワイドショーや報道も、この話題はあまり取り上げなかったようだ。あまりにも違和感がある。

 真実が分からないから、裏が取れないからというのはもちろん理解できるが、芸能界の闇をこのまま放置していいわけはない。本件については私も事実は知らないが、芸能界には、セクハラやパワハラは、まだまだ横行している。

 一般社会であっても、女性が泣き寝入りすることが数多くある。勇気を出して性被害を告発しても、「あなたが嘘をついているんじゃないの?」などと言われてしまうことにも、問題があると思う。それは、セカンドレイプにもなる。

 米国では、長年セクハラをしていた映画プロデューサーが、女優たちによって実名で同時多発の告発をされ、会社の倒産まで追い込まれた。やがて「#Me too」というハッシュタグができ、世界中でセクハラ被害を告発する大きなうねりもできた。

 セクハラは密室で起きる。そのため、証明するのはなかなか難しく、嘘つき呼ばわりされてしまうことも多いという。そんな現状を、変えていかなければいけない。遭ってはほしくないが、もしもあなたが性被害を受けてしまったとき、思い出してほしいことがある。それをお伝えしたい

まだセクハラが横行する芸能界

 マリエさんの事案の真相は不明だが、まだまだ芸能界にはセクハラやパワハラがある。例えば、「男性器を後輩の女性芸人や男性芸人にくわえさせる」「男の人の下の毛を、ふざけて燃やす」「女性芸人の胸をもむ」、さらには自分の肩書をちらつかせ、「女性タレントなどと性的行為をするためのマンションを借りている人」までもいた。女性だけではなく、男性も被害に遭うのだ。

 これらは、私が実際に見たり、その被害に遭った人から直接聞いたりした事案だ。このような場面に遭遇しても、とても「おかしいですよ」と言えるような雰囲気ではない。後々の仕事に影響するのでは、との恐れもある。

 私も堂々と「おかしいですよ」「やめましょうよ」と言えたことはなく、ただ黙っているしかなかった。苦笑いをして、その場をやり過ごしたこともある。私だって加害者なのだ。

 このようなことは、芸能界にはまだまだある。しかし、芸能界やテレビ業界にはこのようなことが横行しており、また大手事務所にも忖度(そんたく)している現状がある中、そこに切り込めるメディアは少ない。また、セクハラは密室で行われることが多いので、目撃証言などを得にくく、立証しにくい。では、どうすれば、この問題はなくなるのだろうか。