あなたは「選挙に行ったって、意味がない」と思っていますか。日本で唯一の「政治の授業をする」株式会社を創設し、日本全国の学校へ行き、年間2万人ほどの人に出張授業を行っているたかまつななさんと「なぜ選挙に行かなければいけないのか」を考えます。

 「選挙に行っても、意味がないですよ」「投票率は低いままでいいのではないか」――。このような声をきくことがある。これは極めて危険な考えであり、間違っていると思う。

 9月、あるいは10月にある衆議院解散後に行われる総選挙は、決して自民党が安心して圧勝するわけではないと予測されているため、私たち若い世代の投票行動が大切になり、1票の使い方が重要になる選挙だと考えられる。

 では、なぜ選挙に行かなければいけないのか。どうやって候補者の中から選べばいいのかなどを、今回は考える。

若者が投票に行くべき理由

 「私は頭が悪いから、選挙に行かないほうがいいと思います」。出張授業に行くと、生徒からかなりの頻度でこう言われる。そうだろうか。私は民主主義がうまく機能するための重要な条件は、参加人数が多いことだと考える。

 例えば、30人のクラスで学級委員長を選挙で選ぶとしよう。そのとき、選挙に行く人が1人しかいなかったら、立候補者はその1人を説得すれば委員長に選ばれる。しかし、クラス全員が選挙へ行くと、全員を説得するのは難しくなる。

 現実の世界も同じだ。選挙に行く人が少ないと「選挙で投票してくれたら、その代わりに優遇してあげるよ」と、特定の団体と癒着しやすくなるのは、悲しいことに事実だ。だからこそみんなが選挙に行けば、特定の人だけに優遇することができなくなる。

 日本は若い世代の投票率が低い。若者に向けた政策が少ないのが現実だ。それならば選挙に行って、若者に向けた政策を増やそうじゃないか

 ちなみに、「若者は人口が少ないから、たとえ選挙に行っても勝てない」という人がいるが、それは若干のミスリードだ。なぜなら、日本の投票率はおよそ50%。若者の投票率は30%ほどだ。確かに、他の世代の投票率も一緒に上がったら若者の影響力は下がる。しかしこの現状で、例えば若者の投票率だけ70%まで上がったら、影響力を持てるのだ。

 だからこそ、「若者世代の声を通りやすくする」ために、「若者が政治に関心があることをアピールする」ために、「若者の存在感を示す」ために選挙に行ってほしい。人口が少なく、投票率が低いからこそ、選挙に行ってほしいのだ。