キャリアやライフにおいて想定外の出来事に見舞われた経験のある人に取材する新連載。1人目は趣味のスポーツ中に思わぬ大けがをしてしまった石塚洋子さん(37歳)に、実際に起きた出来事と、それをどう乗り越えたか。その経験から何を学んだかを教えてもらいます。

(上)1cmずれたら即死の頸椎骨折経てキャリアを0から構築 ←今回はここ
(下)命危ぶむ大けがで時間の大切さを認識 ライターに挑戦

命を失う可能性もあった大けが

石塚洋子さん
石塚洋子さん

 ランニング関連サービス運営のラントリップ(東京都渋谷区)で編集ディレクターを務める石塚洋子さん。170cm近いスラっとした体形で明るい笑顔。そんな石塚さんは約6年前、命を失うかもしれなかった大けがをした経験がある。

 石塚さんは小さい頃から体を動かすのが大好きだった。「いつかオリンピックに出たい」という夢を抱き、高校時代までバスケットボールに打ち込んだものの、「上には上がいる。私がバスケで身を立てるのは難しいかもしれない」と感じるように。「ならば選手以外の役割でオリンピックなどの世界的な大会に関わる仕事がしたい」と考えるようになり、情報を集め、順天堂大学・スポーツ健康科学部・スポーツマネジメント学科を受験し、合格した。

 しかし、就職活動を始める頃にはスポーツへの向き合い方も変わり、「スポーツはあくまで趣味として楽しんでいきたい」と思うように。2008年に大学を卒業した後は、商社に就職。営業事務の仕事に携わった。「社内で花形のアパレルのニットのチームに配属されました。繁忙期には忙しく、閑散期はゆったりプライベートも楽しめるという緩急もありながら安定した職場で、とても充実した日々を送っていました」

最初の就職先を、入社8年目に退社

 しかし、次第に、この「安定感」に物足りなさを感じるようになった。

 「私は元から刺激を求めるタイプでした。また、やっぱり大好きなスポーツの活動を始めたいと思うようにもなりました」

 趣味で続けていたランニングを生かし、社会人5年目に、雑誌『ランナーズ』が主宰する女性ランニングチーム「TeamR2(チームアールツー)」に参加。2年間の活動期間が終了した後、チームのマネージャーへの誘いを受けた。

 「商社の仕事もとても楽しかったのですが、好きなスポーツに関わりながら、より自分らしいキャリアを切り開きたいという思いが膨らみ、20代最後の年だった2014年に会社を辞めました