バンダイが2019年7月に発売した、男の子も対象にしたお世話人形「ホルン」は、男女の社会的な性差(ジェンダー)を固定的に捉えず、個性を尊重していこうとする「ジェンダーレス」の波に乗ってヒット商品になりました。男女の区別に縛られないファッションの流行から始まったこの波は、今や小売りやサービスにも広がっています。「ジェンダーレス」がビジネスの世界で注目されるようになった理由と背景を検証します。
「1歳半から2、3歳になると、女の子だけでなく男の子も赤ちゃん人形やぬいぐるみを相手に『お世話遊び』をすると以前から聞いていました。最近では玩具売り場や保育園などで男の子が『お世話遊び』する姿をよく目にするようになった気がします。実は私の息子もぬいぐるみをお世話するのが大好きでした。『だったら女の子、男の子を問わずに楽しんでもらえるような、男の子にも手に取ってもらいやすいお世話人形をつくったらどうだろう?』。そんな発想から『ホルン』の開発をスタートさせたんです」
バンダイで絵本付きのお世話人形シリーズ「ディズニー|ずっと ぎゅっと レミン&ソラン」の開発を手掛ける山本久美子さん(カテゴリーデザイン部アシスタントマネジャー)は言います。
「正直言いますと、『ホルン おせわきほんセット』を発売するまでは、これほど多くのメディアに取り上げていただき、SNSでも話題になるとは想像もしていませんでした。ここまで注目されるようになったのは、発売のタイミングが、男の子、女の子の育て方を性差によって固定的に捉えず、個性を尊重していこうとする『ジェンダーレス』の波とうまく重なったからだと思います」
同社で「ディズニー|ずっと ぎゅっと レミン&ソラン」の販促・プロモーションを担当する木村昂平さん(アジアトイ戦略部チーフ)は続けます。
バンダイは今年7月、絵本付きのお世話人形シリーズ「ディズニー|ずっと ぎゅっと レミン&ソラン」の新商品として、女の子だけではなく男の子も対象にしたお世話人形「ホルン おせわきほんセット」(写真)を発売しました。レミン、ソランに続く3人目のお人形で、対象年齢は3~5歳です。