doors世代のリアルな在宅勤務生活に迫る本連載。第3回はソフトウエア開発会社・テックファームで働く入社3年目の楡井(にれい)みのりさんです。大人数で行う会議の試行錯誤や、AppleWatchを使った健康&時間管理、オンラインバレエレッスンなど、日々を前向きに過ごす工夫について聞きました。

大規模オンライン会議の難しさ 代替ツールの発見も

 私は、スマホアプリなどのITサービスの企画・デザインを行う情報デザイン部に所属し、「サービスデザイナー」として、サービスのコンセプトやユーザー体験をクライアントと一緒につくり上げていく仕事をしています。会社として以前からテレワーク制度はありましたが、私自身は対面で行う業務が多くコロナ禍以前は毎日出社し、週に2回は打ち合わせなどで外出していました。3月中旬から完全在宅勤務となり、現在お客様との打ち合わせはすべてオンラインで行っています。

「仕事や社会で生きていく上で、価値のある経験が今できるはず」<DATA>主な業務:サービスデザイナー/在宅勤務の必需品:オフィス椅子、AppleWatch/リフレッシュ法:オンラインのバレエレッスン

 通常業務では、お客様のオフィスを訪れてサービス企画のワークショップをしたり、ターゲット層となるユーザーにヒアリング調査をしたり。ワークショップは通常1回2~3時間、サービス設計のためのアイデア出しやディスカッションを行っていました。今年1月から進行していたプロジェクトは、働き方がテレワークに切り替わっても目的やゴールは変わりません。これまで会議室に集まって、ホワイトボード上に付箋を貼ったり、意見を活発に交わしたりしながらつくり上げていた進め方をオンライン開催に再設計していくのは大変でした。

 お客様サイドで10人、弊社サイドで4人と計14人が参加するオンライン会議では、進行上の課題を感じています。複数の意見を聞きながらゼロからアイデアを固めていくフェーズでは、メンバーに自由に発言してもらった中からインスピレーションを受けたり、同じ空間にいてお互いの表情を確認しながら意思決定をしたりして進んでいくことが必要です。オンラインでは複数が同時に発言することがツールの機能上難しかったり、ビデオがオフになっているとメンバーの表情や反応が見られなかったりと、うまくいかない原因がいろいろと分かりました。よりよく進行できるようお客様からも意見をもらい、都度新しい方法や進め方を模索しながら一緒に進めている状況です。14人参加の会議では、お客様にプロジェクトの主幹となるメンバーを4人決めていただき、主幹メンバーはマイクとビデオをオンにして参加、サブメンバーはチャット上に質問や意見を書いてもらい、ディスカッションすべき内容は質疑応答の時間にピックアップして話し合うという進め方をしています。

 オンラインコミュニケーションを手探りで進める中で、今まで紙と付箋がないとできないと思い込んでいたことが、オンラインツールで代替できる部分が意外とあることに気づきました。例えば、miro(ミロ)というオンラインホワイトボードサービスは、会議の参加者が複数のアカウントからワークスペースに入ると、付箋を動かしながらそれぞれが作業している様子をライブで見ることができます。Microsoft Teamsでも、パワーポイントのファイルをみんなで共同作業ができる機能を見つけました。ワークショップは生身の人間同士で行うので、「今日はスムーズに進められたな」「今日は説明がうまくいかなった」と、トライアル・アンド・エラーを繰り返しながら日々改善しています。お客様も含めて全員がオンラインでのやり取りは初めてという状況で、一緒になってよりよい方法を模索できるのはありがたい環境だと思っています。