「いま産む」という決断を迷わせるものは?

 出産を考えているのに、さまざまな理由で踏み切れないこともあります。セッション後半では「仕事の状況」「復帰後マミートラックになる不安」「ロールモデル不在の不安」について体験を交えて議論しました。

 出産から職場復帰して負担の軽い仕事ばかりになる「マミートラック」で働く先輩を見て不安になる人もいます。後藤さんは「それが女性に対する配慮だと思っている会社が多い。私自身は復帰した当初、上司に働き方についてはっきり希望を伝え、直談判しました。コミュニケーション不足のためにマミートラックに陥ったままのケースが多いのではないでしょうか」。周囲からは、働く本人の状況や希望は分からないもの。積極的に自己開示していくことが大事だと言えます。

 周囲に出産、復職して働いている女性がいない、ロールモデルがないという声もよく聞かれます。尾方さんは「以前にいた会社では出産した女性がおらず、ロールモデルが不在。その環境で自分がパイオニアになるという選択肢もありますが、転職して環境を変えてみるのもありかもしれません」

 後藤さんは「自分の部署にはたまたまロールモデルがいませんでしたが、いたら逆に周囲からその人をモデルとして当てはめられたかもしれないので、自分としてはロールモデルがいなくてよかったと思います」。結局は自分自身がどうしたいか決めて、周囲にアピールしていくことが大事だという意見に会場の皆さんもうなずいていました。

 この後、会場では数人ずつのグループに分かれて意見交換。「夫婦間のコミュニケーションは大切だと感じた」「自分たちの親の世代とはギャップがある」「立場が変わると見方も変わる。多様性とコミュニケーションが大事」など、話し合った結論を発表し合いました。

グループに分かれて自由にトーク。互いの意見に共感する声も多数
グループに分かれて自由にトーク。互いの意見に共感する声も多数

 話題が尽きず、あっという間の2時間でした。「日頃こうした話をする機会がなく、他の人の意見がたくさん聞けてよかった」という声も。皆さんの関心あるテーマで今後もオフ会を開催していきます。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

文/秋山知子(日経doors編集部) グラレコ/miyako