熊本で家族とともに、ゼロからのスタート

 移住を決めたとはいえ、地元・熊本で新しい仕事が決まっているわけではなかった。支えてくれたのは、「東京にいても、熊本に帰ってきても、どちらでもいいけど、帰ってくるなら応援するよ」という家族の言葉だった。

 「もしも仕事がなくなったら『母がやっているお店を手伝えばいいや』と考えていました(編集部注:スザンヌさんの母は、熊本で『キャサリン's BAR』という飲食店を経営しています)。当時は大きな決断というよりは、『何とかなるさ』という気持ちでしたね。熊本には両親と妹がいるので、何かあったときにも安心だと思えたんです」

 こうして離婚から2カ月後の2015年5月に、熊本に移住。故郷とはいえゼロからのスタートだったが、地元のテレビ番組への出演が決まり、東京での仕事も途切れなかった。仕事のときは子どもを家族に預けることもでき、「熊本に戻ってきてよかった」と痛感したという。

 「息子が3~4歳の頃までは、本当に家族に助けてもらうことばかりでした。あのまま東京で仕事をしながらワンオペ育児をしていたら……と考えると、怖くなることがあります。やっぱり周囲のサポートは大事ですね」

家族のサポートを受けながら熊本で子育てをしているスザンヌさん
家族のサポートを受けながら熊本で子育てをしているスザンヌさん

 周囲といえば、移住直後はスーパーマーケットで買い物をしていると注目を浴びたが、今では珍しがられることもなくなったという。

 「買い物をしていると、レジの人から『あら、またウインナー買ってる』と言われて、『息子が好きなんですよ』と答えたり、ほかのお客さんからカゴを見られて、『今日はカレー?』『もう、見ないでくださいよ~』と返したり。私は人との距離感が近いコミュニケーションが好きなので、こうした毎日を楽しみながら過ごしています。でも、それが苦手な人もいると思うので、人それぞれかもしれませんね(笑)」