外資系IT企業に就職、30歳で英国へMBA留学

 4年間の留学生活を終えた時岡さんは、帰国して外資系IT企業の日本オラクルに就職。大企業向けにソフトウエアを販売する営業を行った。

 「米国でコンピューターサイエンスを学んでいたので、英語を使ってインターネット関連の仕事をしたいと思っていたんです。また、若手でも大きな仕事を任せてもらえるチャンスがあると思ったので、外資系企業に入社することを決めました」

 入社後は上場企業と億単位の取引を経験でき、時岡さんは忙しくも充実した日々を送る。しかし、時がたつにつれ、次第に「このままでいいの?」と自分のキャリアに疑問を持つようになった。

 「当時は、ITやソフトウエア業界に女性が少なかったこともあり、身近にマネジメントをしている女性管理職がいませんでした。そのため、30歳以降の自分のキャリアパスが見えなくなったんです。

 こうした状況と並行して、『企業内での評価を重視するのではなく、もっと社会に貢献できて、より多くの人にインパクトを与えられるような仕事をしたい』という思いが強くなっていきました。それで、新たなキャリアの道筋を見いだすために、MBAを取得することを決めました

 しかし、働きながらMBAスクールに合格することは簡単ではない。平日は夜遅くまで仕事がある中、スキマ時間を使って単語学習などに励む毎日。土日や大型連休などはすべてMBAスクールの受験勉強にあて、1年間勉強漬けの日々を送り、時岡さんは30歳のときに英国オックスフォード大学のMBAプログラムに合格した。

 「日本ではなく海外のMBAを選んだのは、より大きくキャリアの方向転換を図りたかったからです。海外のMBAを卒業し、医者から戦略コンサルタントに方向転換した人などを知っていたので、業種や職種などを気にせずガラリとキャリアチェンジするのであれば、海外のMBAを選択したほうがいいと考えました」

 また、留学経験のある米国ではなく、英国のオックスフォード大学を選んだのは、同校が事業を通じて社会課題の解決や改善を図る「社会起業」の分野に力を入れていたから。「社会課題を解決し、人の役に立てる仕事をしていきたいという思いが強かったので、オックスフォード大学で学ぶことにしました」

オックスフォード大学のMBAは1年制のプログラムだったため、キャリアのブランクを最小限にとどめられるのも魅力的だったそう
オックスフォード大学のMBAは1年制のプログラムだったため、キャリアのブランクを最小限にとどめられるのも魅力的だったそう