小柄女性向けのアパレルブランドを立ち上げた理由
事業の立ち上げを決断した田中さんは、事業アイデアを何個も書き出した。その中で、自分がのめり込め、やってみたいと心から思えるテーマが「小柄女性向けの服作り」だった。
「私自身が身長148cmで、服選びにはずっと困っていました。丈が長過ぎる、ワンピースのウエスト位置が合わない、肩幅が大き過ぎて服に着られているように見える……など。商業施設などに服を買いに行ってもサイズが合わないので、『気に入った服』を選ぶ楽しみを味わえず、『着られる服』を探しに行く作業になっていました。また、サイズは合っていてもデザインが好みではないことも多々あって、好きではないデザインでも『仕方がないか……』と、妥協を積み重ねていたんです」
世の中にはこんなに服がたくさんあるのに、小柄女性向けの服は少ない――。
需要と供給のアンバランスさを実感していた田中さんは、小柄女性向けのD2C(※)アパレルブランドの立ち上げを決意。「もともと世の中のマイナスをプラスに変え、誰かに必要としてもらえるものを作りたいと思っていたのですが、自分がそのマイナスの当事者であれば、より熱量を持って事業に打ち込めると思いました」
そして田中さんは、当時インターン生として働いていた会社・newnの代表で、連続起業家でもある中川綾太郎さんに事業計画をプレゼンし、ブランドの立ち上げを提案。
「1回目のプレゼンは、見事に撃沈。それでもめげずに事業計画を練り直し、2回目でOKが出て、newn傘下のブランドとしてスタートすることが決まりました。この2回目のプレゼン後に、中川さんから改めて『本気でやる覚悟があるのか?』と聞かれたのですが、このときには自分でもびっくりするほど迷いはありませんでした」
しかし当時、田中さんはアパレル未経験。アルバイトの経験もなければ、アパレル業界で働く知人もいなかったという。そこから、どのようにして服を作っていったのだろうか。